疲弊する自治組織の活性化につながるか(前)
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福岡市は2016年度から「活力あるまちづくり支援事業補助金」を「自治協議会共創補助金」として拡充、地域の絆づくりや担い手づくりへの支援を強化し地域の未来を共につくり出していく「共創」の取り組みを進めていくこととなった。ますます希薄化する地域コミュニティにストップがかけられるのか。その実態を探った。
中心的役割は自治協議会
地域コミュニティ希薄化の要因としては少子高齢化や核家族化の進行、住民の価値観や生活形態の多様化があげられる。福岡市は年々人口増加を続けているが、市の自治組織は高齢化により年々、役員の成り手が減少し、役員の改選時期になると次期役員探しのために奔走しなければならない。また少子化の影響で子供会が消滅した地域もあり、地域コミュニティのさらなる希薄化が進展している。
地域を元気にして、安心・安全の街づくりを進めていくのは、地域コミュミティの中心的担い手である自治会(町内会)・各種団体とこれらの組織を統括する自治協議会である。自治会への地域住民の加入と参加を促進させることが必要不可欠であるが、誰もが安心して暮らすことができる地域社会を実現するために地域により必要とする課題に対応して実態に即した支援が必要となる。
活力あるまちづくりから「自治協議会との共創」へ
福岡市は16年度、住民主体のコミュニティづくりの支援として17億4,700万円を計上した。市民局によると地域活動の担い手づくりや地域の絆づくりを推進。持続可能な地域を自治協議会と共に創るため、自治協議会に対する補助金を「自治協議会共創補助金」として拡充。企業や商店街などの地域活動への参加を促進するとともに、校区の特性に応じたまちづくりを支援するなど、様々な主体が地域の未来を共につくり出す取り組みを推進するとしている。
コミュニティ活動の拠点である公民館についても施設整備を進めるとともに、若い世代の参画促進など地域活動の担い手の育成や情報発信などに取り組むとしている。そのため従来の「活力あるまちづくり支援事業補助金」を「自治協議会共創補助金」として拡充。各小学校区の人口区分に応じ以下の金額が補助されることになった。
校区・地区人口区分 補助金限度額(千円) 15,001人以上 3,940 10,001~15,000人 3,620 5,001~10,000人 3,300 2,001~5,000人 2,880 2,000人以下 2,460 自治組織は単位自治会である町内会とその集合体の自治連合会がある。さらに「社会福祉協議会」「人権尊重推進協議会」「男女共同参画推進協議会」「防災委員会」「体育協会(体育振興会)」「健康づくり」「老人会」などの各種団体があり複雑にしかも密接に絡み合っている。その複合的な組織のまとめ役が自治協議会である。福岡市内は各小学校区すべての149校区に自治組織会(自治協議会)があり上記の補助金で各団体の事業が賄われている。
先進の自治協議会~松島校区自治協議会
福岡市東区の中で最も人口の多い校区で積極的に安心・安全の街づくりを進めている自治協議会がある。それが福岡市東区松島校区自治協議会である。東区の中でも環境の良い校区として知られる松島は人口1万8千人を超える福岡市内でも有数の人口をかかえる校区である。自治協議会会長の高橋啓治氏を中心に防災、交通安全、体育などの各委員会が積極的に活動している。
福岡市からの補助金は上限の394万円である。この補助金を前述の各種団体に配分し各団体の事業実施の活動資金にあてる。例えば、松島校区体育振興会(体育協会)はソフトボール、バレーボール、バドミントン、大運動会など年間を通じて多くの事業を実施している。一人でも多くの住民に参加してもらうために知恵と汗を流しているが、優勝者への賞状や賞品、参加賞などの商品購入には予算が必要である。そこで各団体の事業内容や規模に応じて先ほどの補助金が配分される。松島校区自治協議会では毎年2月から3月にかけて3、4回ほど各団体の会長による予算委員会を開催する。
(つづく)
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