2024年11月26日( 火 )

福岡市の待機児童数が2年連続で増加

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hitoriasobi 福岡市が4月11日に発表した1日現在の待機児童数は、待機児童解消をうたう高島市政の施策が奏功していない実情を浮かび上がらせた。認可保育所などの空きを待っている待機児童、特定の保育所を希望して入れることができない未入所者数のいずれも2年連続で増加。福岡市は就学前児童の人口増が背景にあるとするが、一方で入所を希望する数が増えていることも認めており、一筋縄ではいかない待機児童解消に苦渋をにじませた。

 1日現在で待機児童数は72人。前年比で13人増となった。福岡市によると、4月1日の数字は3月の卒園による入れ替えがあるため、1年で最小の数になる。毎年4月と10月に待機児童数などを国に報告することになっており、昨年10月では待機児童数295人、未入所者数2,372人。これらの数は月によって変動があるものの、総じて年々増加傾向がみられるという。

 就学前児童数は1日現在で8万6,191人であり、前年同月比で301人の増加。少子化で伸び幅は縮小しているものの、11年から6年間だけをみても右肩上がりを続けている。入所申込数も前年同月比1,375人増の3万5,576人。市の担当者は「重要なのは入所申込数を就学前児童数で割った申し込み率。これが年々増加している」と説明する。1日現在で41.3%となっており前年同月比1.5ポイントのプラスだ。

子どもの数が増えたから単純に待機児童や未入所者が増えるというわけではない。働く親が増えたということを意味している。福岡労働局が3月29日に発表した2月の有効求人倍率は1.24倍。月ごとの推移をみると昨年2月からゆるやかな右肩上がりとなっており、雇用環境は改善されている。待機児童と未入所者の増加はこうした状況が背景にあるとみるべきだろう。

 福岡市でも15年度中に当初計画を上回る1,561人分の整備を実施したが、結局は待機児童解消とはならなかった。入所申込数は今後も増加するとみられ、市は16年度に1,800人分を整備するとしている。

一つ、保育所を増やさずに待機児童問題を解消できる簡単な方法がある。母親が働かなければいいのだ。暴論のように思われるかもしれないが、これは石原慎太郎、堺屋太一、渡部昇一、曽野綾子らがメディアで主張している。安倍政権が標榜する「女性が輝く社会」と逆行する論調のようだが、女性に働くなという意見に共感する人は意外に多い。ただし、これでは人手不足問題を解消することはできない。今年施行30年目を迎えた男女雇用機会均等法の理念からもかけ離れている。
 福岡市は保育環境の整備によって待機児童解消を図る道を選んだ。この道は第2の「保育園落ちた」ブログを生む危険性をはらんでいる。今後も高島市政を見守りたい。

【平古場 豪】

 

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