ほんとに大丈夫か福岡県の防災対策
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14日午後9時26分震度7の地震が起きた熊本地方では、安全な場所を求めて多くの方が避難場所で不安な一夜を過ごした。記者の知人も熊本県中央区の帯山小学校に避難した。この日は余震も多く体育館にも多数、避難者がいたが、いつ体育館の天井が落ちるか不安で、校庭にビニールシートを敷いて過ごす家族も多かったという。しかし、この晩は肌寒く「着の身着のままで」避難された方は、毛布すらなく寒い思いをしながら避難していた。幸い知人の家族は車で避難していたため車内で暖を取ってしのいだ。15日は幸い好天であったが強い地震が続いていた。15日時点の天気予報では16日からは雨が強いとの予報であったにも関わらず、15日午後になっても行政からの支援はなく、知人の家族は福岡へ避難することを決断。その日のうちに熊本を出発した。その日の深夜、16日午前1時26分ごろに熊本地方を震源とするマグニチュード7.3の本震が起きた。間一髪で難を逃れたものの、毛布や飲料水、非常食の備蓄のある「避難所」に行くように指示しなかった行政の怠慢にやり場のない憤りを感じた。そこで「避難場所」と「避難所」の違いについて調べてみた。
「避難場所」と「避難所」は違いがある
多くの人が従来の災害対策基本法では災害の危険から逃れるための一時的な「避難場所」と避難生活を送るための「避難所」が必ずしも明確に区別しておらず、東日本大震災では被害拡大の一因ともなったのを受け、2013年6月に改正された災害対策基本法で緊急事態に切迫した災害から逃れるための「緊急避難場所」と、一定期間滞在し、避難者の生活環境を確保するための「避難所」が明確に区別された。そこで福岡市と福岡県にどれくらいの「避難場所」と「避難所」が存在するか尋ねてみた。
福岡市には合計で815箇所の「避難場所」と「避難所」がある
福岡市の防災危機管理課によると、福岡市の場合は避難場所には「地区避難場所」(365個所)と「広域避難場所」(25箇所)の2種類がある。「地区避難場所」は小学校のグラウンドなどが多く、「広域避難所」は規模の大きな公園などが指定されている。いずれの「避難場所」も災害が発生し、または発生する恐れがある場合にその危険から逃れるための「避難場所」とのことである。
福岡市内の避難所については「一時避難所」(190個所)と「収容避難所」(235個所)がある。「一時避難所」は公民館などが多く、1晩程度の避難所として指定。「収容避難所」は、避難後に落ち着いてそこに留まり長い避難生活をするところとして指定されている。「避難場所」と「避難所」は重複している箇所もあるが避難所には一定の支援物資が備蓄されているという。
福岡県危機管理局~「避難場所」「避難所」の数は把握していない
福岡県全体では「避難場所」や「避難所」がいくつあるか、福岡県危機管理局消防防災指導課に尋ねてみた。担当者は「県では数は把握していない」「各自治体に聞きなさい」とそっけない。確かに「避難場所」や「避難所」を指定するのは単位自治体かも知れない、しかし甚大な被害を受けた市町村が機能しなくなった場合は周辺自治体や県が災害業務を代行する必要があるのではないか。そのために常日頃からの情報交換や情報の共有が必要なのである。福岡県では16年3月22日に福岡県地域防災計画(地震・津波対策編)が改定されたばかりである。県内で万一、甚大な災害が起こった場合「避難場所」「避難所」を知らずして真の防災対策がとれるはずはない。机上の計画ではなく住民目線の防災計画であることを願うのみである。
【吉武 輝実】
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