老舗の火が消える~創業100年のうどん店「松乃家」が閉店へ
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長崎市民に古くから愛されてきた老舗が一つ姿を消す。100年以上の歴史があるうどん店「松乃家」が5月31日で閉店することがわかった。親子代々通っていたというファンも多く、「寂しい」「ショック」と驚きの声が上がっている。
創業は1914(大正3)年。浜屋百貨店の裏に店を構え、細くて軟らかい麺と少し甘めの出汁は子どもからお年寄りまで幅広く親しまれてきた。店主の本田浅市氏が味を守り続けてきたが、高齢のため閉店を決めたという。その知らせを聞いた市民らは、「きつねうどんとお稲荷さんのセットが大好きでした」「幼い頃に母親とよく一緒に食べに行っていました」「亡き父との思い出の店」と閉店を惜しんだ。
松乃家がある浜町商店街では、景気の低迷や人口減少などの煽りを受け、のれんをたたむ老舗が少なくない。なかでも長崎大丸(博多大丸長崎店)の閉店は市民を驚かせた。1854(安政元)年に異国貿易商として創業し、1931(昭和6)年には長崎初の百貨店「岡政百貨店」となった。経営難から88年に長崎大丸として再生したが、2011年に閉店している。かつて長崎市民は「浜ぶら」を楽しみ、松乃家、岡政は定番コースだった。
繁華街の地盤沈下が言われるようになって久しく、地元ではアーケードを使って盛んにイベントを開くなど活性化を図っているものの、かつての賑わいを取り戻すまでには至っていない。松乃家閉店はそれを象徴する出来事とも言える。市民の多くが近郊の大型商業施設や福岡市に足を運んでいるのが実情であり、こうした人たちを回帰させるための魅力づくりが繁華街に求められている。
【平古場 豪】
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