熊本地震、教育機関の苦悩
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震災から1週間以上経過した24日、筆者は熊本市に向かい、被災した知人2人を訪問した。1人は大学入試課の職員、もう1人は小学校の教諭だった。
事前に、不足している物資について聞いた。双方とも自宅は被害の程度が軽く、すでに救援物資などで生活に必要なものは揃っており、「必要ない」とのことだったが、片付けボランティアで「ヘルメットと安全靴があれば」とのことで、福岡県内で調達し、持っていくことにした。
まず再会したのは、熊本県内の大学で働く職員。入試課で主に学生募集を担当している。勤務時間は短縮されており、通常業務半分、片付け半分の仕事を終えて、帰宅後自宅の片付けを行うなどしている職員が多いという。地震発生からこれまでの話を聞いた。
「まずは学生たちの安否確認に必死だった。入学式を終えて、間もなく地震が発生した。一人暮らしを始めたばかりの新入生は友達も少なく、地震発生時には大変取り乱したと思う。また留学生は多くが一時帰国、また県外の友人宅に身を寄せている。現在、授業再開に向けて、職員総出で対応している。来月9日まで休講を予定しているが、再開できるかどうかはメドが立っていない。理系学部には実験などに使用する器具が多く、検査してみなければ授業にならない」。
ガイダンスなど学生募集を担う入試課としての業務は、当面見送る。「来年度の新入生募集もしなければならないが、現状弊校をアピールしても、震災のイメージから学生が好んで選ぶことは考えにくい。しばらくは我慢の時期が続く。その分、在学生のフォローに全力を注ぎたい」としている。
また、もう1人の小学校教諭は、勤務する小学校が校区住民の避難所となっていた。地震が発生した翌日には、最大で1,100名の避難者が身を寄せていたが、同日避難者は350名程度まで減っていた。同校教職員が交代制で、夜間も学校に寝泊まりし、朝の炊き出し、そして緊急事態に備えている。主に避難者が寝泊まりする体育館には床一面に布団がしかれており、授業再開はまだ先のよう。地震直後は教室も開放していたが、現在はほとんどの教室が空室となっており、退所者も増えている。そのため、授業再開の準備を進める動きも同時に行っていくようだ。
同教諭は「時間とともに必要な物資は変化してきたが、現在は十分に確保できている。震災から1週間が経過し、被災者のストレスが高まりつつあるのを感じる。過ごしやすい環境はできる限り、整えたい。また高齢者も多いので、感染症など二次被害が出ないような対応をしたい」と話す。
避難者が全員退所するまでは、原則的に授業を再開できない。仮設を含めた、被災者の住居が確保されなければ、授業再開は遅れてしまう。【東城 洋平】
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