上限超え懲役刑判決、裁判所は「侵スベカラズ」なのか(後)
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違法な判決で身体の自由を奪われないために
過ちを犯した当事者である福岡地検の幹部に、あえて裁判所の責任について水を向けたが、「刑を執行するのは、検察の責任ですから、その時のチェックで気付かなければいけなかった。緊張感を持って仕事をしなければいけないと猛省している」と真摯な言葉が返ってきた。
裁判所は、国家機関のなかでも、行政機関(省庁)と比べても、第三者からのチェックが働かず、身内に甘い組織だ。国民の知る権利に対しても、閉鎖的だ。ハンセン病患者を隔離法廷で裁いたことに対する謝罪でも、有識者委員会が憲法違反と指摘していたが、違憲性を認めず、「合理性を欠く差別的な扱い」として裁判所法違反などに留めた。ハンセン病の隔離政策について、2001年の熊本地裁判決(確定)は、隔離政策を違憲だったと判断していた。国会と政府はすでに謝罪したが、特別法廷の問題で最高裁が謝罪するまでに15年以上の年月がかかった。謝罪したといっても、裁判が療養所で開かれたことについて、開廷を知らせる張り紙が掲示されたから「裁判の公開」に反せず、違憲ではないと言うのである。これでは、「法の番人」が「自己保身」のための証拠集めに15年も費やしたようなものだ。
取材に対しても、「司法記者クラブを通して質問してください」と求め、記者クラブを「楯」に利用することがある。
国家権力の監視をめぐって、記者クラブが、その弊害が喧伝され、悪者にされるが、行政機関や国家機関が記者クラブを隠れ蓑にして、監視の目を逃れるのはいただけない。記者クラブ加盟社以外の記者からの取材にもオープンに対応し、国民の知る権利に応えるべきである。
裁判所に検証、猛省を求める
今回の法令の上限を超えた違法判決をめぐって、なぜ、「法の番人」である裁判所が違法な判決を言い渡したのか、求刑の何割という暗黙の了解に従っただけなのか。そもそも、冤罪事件で見られるように、検察の言うことを鵜呑みにして判決を書いただけなのか。
「事実確認中」というが、今回の検察の発表を知ってから、どのような初動で、どのような指揮命令があり、どのように事実を確認しているのか。
国民には、自分が違法な判決で不当に身体の自由を奪われないためにも、裁判所がこの問題でどのように対応をしていて、どのような再発防止策をとるのか知る権利がある。真摯な謝罪と対応がなければ、再発防止にも実効性が感じられない。
裁判所は常日頃「国民に開かれた司法」と言うが、自らのことは「神聖にして侵すべからず」だとでも思っているのだろうか。ことは、国民の身体の自由を違法に2カ月間も奪った重大問題である。裁判所には、真摯な検証と、結果の公表、猛省を求める。
(了)
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