立憲主義回復へ小林新党!参院選比例区に候補擁立
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立憲主義を否定する安倍政権を打倒して立憲主義を回復すべきだと主張している憲法学者の小林節慶応大名誉教授らが5月9日、夏の参院選挙で比例区に候補者を擁立するため政治団体を設立すると東京で記者会見した。記者会見を前に、“小林新党”の意義をみてみた。
「言論の自由」に危機感漂う今の日本で、萎縮する報道機関を尻目に、歯に衣を着せぬ小林氏の言論と行動は、とどまることを知らない。
安保関連法を違憲と断じ、安倍政権を厳しく批判。野党共闘を進める市民運動でも先頭に立ってきた。国会内の勢力を逆転させるために野党共闘必勝法を指南してきた「行動する憲法学者」が、野党、とりわけ野党第1党の動きの鈍さに業を煮やしたと言えるだろう。小林氏は、もともと改憲派の論客として知られ、自民党の憲法改正指南役であったが、「憲法は主権者・国民が権力を託した人々を管理するための規範」という「マガジン9条」特別対談での発言にみられるように、立憲主義の考え方に立ったうえで、憲法は「不磨の大典」ではないという立場だった。
安倍首相が憲法改正のために第96条の改正手続きを緩和しようとしたときには「裏口入学」と批判し、立憲主義の回復を目指す「立憲デモクラシーの会」の呼びかけ人に名を連ねた。2015年夏に成立した安保関連法案をめぐっては、同年6月の衆院憲法調査会で参考人として違憲と陳述した。同年8月頃には、各界各層への呼びかけに動き、「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」(民間立憲臨調)を16年1月に設立した。安保関連法反対をきっかけに、「天敵」だった共産党の党首とも対談するなど、一党一派に偏らない行動も野党共闘を後押ししてきた。
立憲主義を回復するためには野党が共闘し、良心的な無党派層を取り込むべきだと、全国各地で講演する日々が続く。ゴールデンウィーク初日の4月29日には、福岡県宗像市でも講演し、立憲主義の回復を熱く語っている。すでに、政治団体設立の覚悟は固まっていたとみられる。
安保法に反対した「ママの会」のメンバーをはじめ多くの市民が、野党共闘の鈍さにもどかしさを感じてきたことだろう。あるいは、安保関連法反対の経過や野党各党の意見の相違などから、野党共闘を実らせるために、原発、TPP、消費税、経済格差などの問題を遠慮する自粛・委縮に市民サイドのフラストレーションも溜まっていた。
与党も野党も国民の声を聞くべきだが、従わないなら言うことを聞かせる力を市民が持たないと、聞き置かれるだけだ。市民自ら政治団体を興すことは、今の政党状況に一石を投じることになる。
小林氏が新たに立ち上げる政治団体が、言論の自由や原発、消費税率アップの延期なども掲げるのは、これまでの同氏の発言からみて間違いない。行き場のない良心的な無党派層の受け皿になるだろう。“小林新党”がどこまで支持され、野党を1つの方向にまとめていくうえでも影響力を示せるかどうか。記者会見を受けて、あらためて論じたい。【山本 弘之】
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