アフリカにおける日中の熾烈な競争
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人口12億人のアフリカは、日中両国が政治的影響力と経済的利益をめぐり競い合う一大市場になりつつある。アフリカの人々は日中両国のアフリカにおける競争をどう見ているのだろうか?4月上旬、中国経済新聞取材班は二週間にわたりケニアとエチオピアを訪れ、現地の日本企業と中国企業を取材し、両国政府関係者の意見を聞いた。
かねてより、アフリカは「西貧東富」の様相を呈してきた。ケニアとエチオピアはどちらも東アフリカに位置する国であり、特にケニアは、東アフリカの5か国の中でも最も裕福である。首都ナイロビには現代的な都市の風景が溢れ、国際連合食料農業機関の本部もナイロビに設置されている、対するエチオピアは、ケニアに比べればやや貧しいが、今まさに中国の改革開放の経験を学び、アフリカの「中国」になろうとしている。
現在、ケニア在住日本人の総数はわずか700人ほど、日本企業は138社である。しかしケニアの中国人は5万人に上る。ただ、中国人が5万人いるとはいえ、その多くは廉価商品の輸出入貿易、そして不動産開発に携わっている。華為(ファーウェイ)、三一重工などの著名な中国企業が参入しているが、そのほとんどは現地で工場を作ることなく、販売を主としている。
日中両国政府のアフリカ、特にケニアにおける競争も非常に顕著である。ここ数年のうち、中国政府がナイロビで行った最大の投資建設プロジェクトは高速道路である。ナイロビから北部の工業都市ティーカへと続く前兆50キロ・8車線の道路を、中国の建設会社はわずか4年の時間で完成させてのけた。今ではケニア政府が最も誇る道路となり、このプロジェクトは「中国の奇跡」と呼ばれるほどだ。対する日本政府は2008年にケニア政府に25億円の援助を行い、同じくナイロビに道路を建設した。この道路はナイロビ市の中心を通るもので、ケニア人に「キレルシュワ」と呼ばれている。この全長十数キロ・2車線の都市交通要路は5年の時間をかけて建設されたため、現地メディアは「日本の速度」は「中国の速度」に及ばないと考えていた。
日本の駐ケニア大使寺田達志氏が天皇誕生日を祝うパーティでケニアの記者から取材を受けた際、この問題に対してこのように語っている――日本が建設した都市道路は、確かに2車線しかなく、建設時間も長いが、設計が優れているため、3つの特徴がある。まず、広い歩道を併設し、ランニングもできる。次に、開放式の水路を備え、雨季に素早く雨水を排出することができ、道路の冠水を防ぐことができる。そして、道路の両面に街灯が設けられ、社会の治安維持に役立つ。
ケニア人は日中両国のケニアの道路建設における競争をどう見ているのだろうか?ケニア全国商工会議所会長・ラオ氏は中国経済新聞の取材に対してこう語っている。「日本の援助によりナイロビに建設された道路は、現地の建設会社とケニアの作業員を利用し、資材も多くはケニア国内で調達されている。つまり、ケニアは日本の援助した道路がもたらす利便性を享受するだけでなく、雇用と貿易の機会を得ることができた。そのためナイロビ市民にも好評を博していた。対して、中国の援助した道路は確かに日本より広いが、中国の建設会社と作業員を使い、建築資材もすべて中国からの輸入であり、ケニアの企業が利益を得ることはできず、利益は中国人が稼いでいってしまった」。ただし、彼はケニアは日中両国のケニアへの援助拡大を歓迎する、このような援助はケニアの発展の助けになるとも語っている。
三井物産ナイロビ支店長・高瀬智規氏は、日中両国のアフリカ市場における競争を、単純に見てはいけないと指摘する。中国がケニアおよび東アフリカ地域における高速道路の建設を積極的に進めることは、他方面から見れば、この地域での日本の自動車の販売促進に繋がることにもなる。また中国の自動車部品メーカーの大規模なアフリカ参入も、アフリカにおける日本の中古車修理を支えているという。高瀬氏は、日中両国はアフリカ市場で競争中だが、大幅な協力の余地があると考えている。
現在、日本車のケニア・エチオピアにおける市場シェアは80%を超え、そのうち8割は日本の中古車である。東アフリカ諸国の人々がこれほど日本車を好むという背景のもとで、中国のシェリー、ジーリーなどのブランドの車が、アフリカ、特に東アフリカのような比較的裕福な地域において、トヨタに打ち勝ち、トヨタの占めるシェアのうち一部を獲得するのは容易なことではなく、非常に大きな挑戦といえる。
現在、日本政府が憂慮しているのは、中国のアフリカにおける援助・投資の規模が日本をはるかに上回っていることだ。代表的な例がアフリカ一の港湾」モンバサ港の建設だ。日本の援助により建設された21号埠頭の規模は、中国が援助した19号埠頭の3倍にあたる。しかし中国は「日本埠頭」のすぐ隣に、22号埠頭の建設を開始した。この埠頭の規模は「日本埠頭をはるかに上回るものになるという。更に重要なのは、中国が東アフリカ鉄道ネットワークの始発駅をこの22号埠頭に直接建設するということだ。「東アフリカ鉄道」も中国の援助により建設されたものであり、モンバサ港を出発点として、ケニアの首都ナイロビからウガンダの首都カンパラに続く、全長1233キロの鉄道である。同時に4本の支線鉄道が南スーダン、コンゴ民主共和国、ルワンダ、ブルンジなどの国を繋ぐ。よって、「中国埠頭」は東アフリカ最大の物流の中心となるのだ。もし中国が東アフリカ鉄道の経営権または制御権を得れば、それはアフリカ全体の経済の命綱を握ることに他ならない。そのため、一部の日本商社はすでに「日本埠頭」の「日本経営権」を得るために積極的に動き、モンバサ港が完全に中国政府にコントロールされることを防ごうとしている。
今年8月、日本政府はナイロビで「アフリカ開発会議」を開催し、一連のアフリカ援助計画を提示する。日本のインフラ産業はアフリカで市場を得ることができるだろうか?それは安倍首相の手腕次第といえるだろう。
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