金・利権・不正まみれの五輪なら返上しかない
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、現在浮上している、オリンピックの東京招致を行った招致委員会が不正資金を支出した疑いについて言及した、5月17日付の記事を紹介する。
オリンピックの東京招致を行った招致委員会が不正資金を支出した疑いが浮上している。
2013年7月と10月に、2020年東京オリンピック招致の名目で、国際オリンピック委員会(IOC)前会長のラミアン・ディアク氏の息子に関係するシンガポールの口座に、「東京2020年五輪招致」という名目で2億2,300万円の送金があったことを把握したと、フランス検察当局が5月12日に発表した。日本のメディアは第一報を伝えたものの、この巨大疑惑を大々的に報道しない。三大御用コメンテーターの1人である元朝日新聞の星浩氏は、東京オリンピック組織委員会会長の森喜朗氏が生放送番組に出演しているにもかかわらず、恐る恐るこの疑惑に触れただけで、まったく追及もしなかった。
疑いは招致委員会が東京招致を実現するために、賄賂を送ったというものだ。これが事実であれば、日本は五輪開催を辞退する必要が生じる。また、日本の招致委員会の責任者の責任が問われなければならなくなる。日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は、竹田氏が理事長を務めていた東京2020招致委員会としての支払いの事実を認め、「正式な業務契約の対価として支払った」と述べた。竹田氏は記者に対してこう答えている。「招致活動はフェアに行ってきたと確信している。支払いはコンサルタント料と確認でき、公認会計士の監査、指導を受けた上で送金されている」。
竹田氏の発言は、2億2,300万円の支払いが、コンサルタント会社に対して、コンサルタント料として支払われ、その支払いについては、公認会計士の監査を受けていることを示しているに過ぎない。「招致活動がフェアに行われた」かどうかについては、「竹田氏が確信している」というだけで、フェアに行われたとの立証はなされていない。「フェアに行われなかった」という証拠がフランス検察当局によって公表されたが、その公表内容を否定する説明、証拠は示されていない。
コンサルタント会社にコンサルタント料を支払ったのかどうかが問題になっているのではない。コンサルタント会社が、賄賂を送ったのかどうかが問題になっている。問題をすり替えてはいけない。
招致委員会が契約し、資金を支払い、契約を締結したコンサルタント会社が、不正な賄賂を送ったのが事実であることが明らかにされる場合、最終的な責任を負うのは招致委員会である。コンサルタント会社が契約違反行為を行って賄賂を送ったということになれば、招致委員会はこのコンサルタント会社を刑事告発する必要が生じる。
しかし、2億2,300万円もの資金の支払いを招致委員会が認めて支出を行い、しかし、それは不正な賄賂資金としての支払いではなかったと主張するなら、契約の内容、および、2億2,300万円の金額を支出した根拠を明示することが必要である。安倍首相がアルゼンチンのブエノスアイレスに行き、2020年オリンピック開催地が東京に決定されたIOC総会は、2013年9月7日に開催された。日本の招致委員会からIOC元会長の息子の関連口座への資金送金は2013年7月と10月に実行されたとフランス検察が公表しているのだ。
この資金が「賄賂」資金であれば、日本はオリンピック東京開催を返上するしかない。当たり前のことだ。「不正招致をして五輪開催」などという恥ずべきスキャンダルまみれの五輪を開催しようと考える主権者など、ほとんど存在しないだろうと考えられるからだ。世界に対して説明することが不能になるからだ。
※続きは5月17日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1437号「金・利権・不正まみれの五輪なら返上しかない」で。
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