開発に揺れる柳橋連合市場(6)~入居者だけの問題ではない高口ビル建替
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柳橋連合市場一帯を再開発しようという構想はずいぶん前からあったものだが、依然として実現はしていない。部分的な開発は今に始まったものではないが、現在2つの開発案が同時に進行しており、それぞれの説明会が住民および事業者向けに重ねられている。大規模開発を進める地場業者と部分開発を進める県外業者。2者の取り組みをめぐり、市場内関係者の反応にも温度差が生じてきている。
生活路消滅、工事期間内の補償は?
高口ビル入居者に対し、建て替えを進める(株)ジョイフルコーポレーションの立ち退き交渉が急ピッチで進んでいる。全入居者のうち、すでに1階の1店舗と柳橋連合市場協同組合の事務所以外は退去、もしくは退去に基本合意したと関係者は言う。当初、ジョイフル社の示した建て替え計画を知った同市場内関係者からは「立ち退き料に加え、建て替え後は新しい店舗に入居できる現テナント入居者がうらやましい」との声も聞かれていた。しかし、事態が進むにつれ、高口ビル入居者以外にも影響を及ぼす可能性が浮上している。
ジョイフル社の開発案、(仮称)春吉1丁目プロジェクトの設計図面を見ると、4月下旬からボーリング調査の行われていた市場内への通路の1つが消滅している。建て替え後には、現在の通路上に建物がせりだすかたちとなっている。生活路、避難路を失うことになれば、市場内関係者すべてに影響が及ぶ。またすでに緊急総会で組合員から指摘があったように、20カ月の工事が始まれば、市場全体の商売に影響が出ないという保証はない。高口ビル入居者だけが補償を得るようであれば、他の店舗からも不満は生じる。
建て替えありきの係争和解案
そして、高口ビルに入居していない、ある鮮魚店にとっても高口ビル建て替えが同店の将来を左右しそうだ。同店は現在ジョイフル社が運営する駐車場「ジョイフルパーク」の入り口そばに店を構えている。ジョイフル社とは、店舗の看板撤去などを巡って係争中だが、事態の進まないことにジョイフル社は今年4月中旬に和解案を提示。和解案では同鮮魚店に対し、現在の駐車場そばから高口ビル建て替え後の新築ビル1階中央への移転を優先的に行うというもの。5月末までに、回答するようジョイフル社は求めていたが、いまだに和解案には合意していない。
高口ビルの所有権の移転、建て替え資金の調達、現テナントの退去などまだ不確定要素が多い。そもそも高口ビルが計画通り建て替えとなるのか。そのための条件がそろわない状況下で判断を下すのは非常に困難である。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
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