消費税減税撤回なら高市退陣

政治経済学者 植草一秀

 特別国会が閉会したかのような空気が醸成されているがメインイベントが残されている。言うまでもない。高市疑惑の追及と解明。

 22日午後の衆議院予算委・集中審議が潰された。「逃げの高市」の面目躍如。「逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて、逃げて参ります」の高市。集中審議は7月27日(月)午前9時に延期された。NHKの中継も行われる。焦点は野党がどこまで核心を衝くか。疑惑のデパートを解体する必要がある。
誹謗中傷動画
サナエトークン
経歴詐称
サナエタオル配布
統一協会
政治資金不正

 野党が綿密な調査を行い、その上で核心を衝く質疑を行わなければ事態は前に進展しない。野党の能力と意思が問われる。

 誹謗中傷動画とサナエトークンでは高市氏公設第一秘書の木下剛志氏と問題の中心人物である松井健氏の参考人招致、証人喚問が必要不可欠。その道筋をつけなければならない。

 サナエトークンではすでに犯罪行為が明らかになっている。資金決済法違反の重大犯罪である。拘禁刑、高額の罰金が科せられる重大犯罪。まずは、金融庁が刑事告発することが必要。刑事告発の動きが遅れている金融庁は職務怠慢である。金融庁による刑事告発を明確にすることが絶対に必要。

 サナエタオル配布は公職選挙法第199条の二に規定がある重大犯罪である。野党は証拠を確認して国会で高市首相を追及する必要がある。警察・検察当局の対応も問い質す必要がある。

 7月27日の質疑で問題が解消する可能性はゼロである。今後の参考人招致、証人喚問等の日程を定める必要がある。

 7月27日の午前9時。全国民がNHK中継を通じて予算委員会集中審議を監視する必要がある。国会において衆議院では与党が圧倒的多数議席を占有するが、参議院では自維与党が少数である。与党以外勢力が過半数を占有している。それにもかかわらず、多くの悪法が特別国会で制定されてしまった。

 その理由は「や党」の一部が与党に加担したことにある。「見た目は野党、中身は与党」が「ゆ党」の定義。「ゆ党」が拡大して悪辣(あくらつ)な「よ党」に加担している。

 「国民投票法改定案」に立憲が賛成した。附帯決議にネット規制、資金規制、CM規制を定めるべきことを明記したことを賛成の理由とするが、附帯決議はこのことを確約するものではない。「最大限努力する」というだけだ。

 法律が可決された直後に維新の吉村洋文氏は附帯決議を無視する方針を公言した。「附帯決議」、「附則」に拘束力がないことを踏まえた対応を取るべきだ。実効性のない「附則」や「附帯決議」なら「芝居」でしかない。真の「や党」なら「よ党」にすり寄るのではない毅然とした対応を示すはずだ。

 「ゆ党」が拡大して与党の下劣な政治に加担している。
国家情報会議創設
個人情報保護法改定
国旗損壊罪創設
国民投票法改定
刑事訴訟法改定
健康保険法改定
皇室典範改定
などが強行された。すべて間違っている。

 政権交代を可能な限り早期に実現して、すべての法再改正を実現しなければならない。皇室典範を十分な審議も行わずに改定してしまったことは大きな汚点。ただし、「皇室典範を手軽に改定できる」という「実績」が作られた意味は大きい。政権交代が実現した暁には真っ先に皇室典範改正を実行すべきということになる。

 明治が創作した「万世一系の男系男子」を廃することが必要不可欠。明治が創作した「男系男子」が「家父長制」=「女性蔑視」の元凶となった。皇室典範の「男系男子規定」を削除するとともに、養子禁止を皇室典範に明記する必要がある。

 「男系男子」での皇位継承が強行されてゆくなら、天皇制そのものの廃止を検討すべきである。憲法改正の論議が存在するが、このなかに「天皇制廃止」も含める必要が生じてくることになるだろう。まずは、政権交代を実現して「女性天皇、女系天皇」を認める改正を早期に実現するべきだ。

 刑事訴訟法改悪も言語道断。冤罪ほど卑劣な犯罪は存在しない。検察は重大犯罪を繰り返してきたことに対する認識と反省を欠いている。裁判所が再審開始を決定した際の検察の抗告を禁じるべきことは当然。検察の抗告を認める法改定を強行した高市内閣は万死に値する。

 健康保険法改定を強行。高額療養費制度の自己負担上限が大幅に引き上げられる。病に苦しむ国民の命綱を断ち切る暴挙。25年に大論議があって制度改悪を凍結したのに解凍して強行した。

 高市内閣の冷酷な本性がむき出しになった。「物価高対策」が叫ばれてまもなく2年の月日が流れる。議論だけが行われて何も実行されていない。税収は20年度から25年度までの5年間に年額で23.4兆円も上振れした。年額23.4兆円の巨大増税が行われたということ。この増税に見合う減税を決定して初めて財政政策スタンスは「中立」になる。

 23.4兆円の恒久減税を決定して初めて財政運営は「中立」になる。食料品の消費税率ゼロを2年間実施するなどという施策は「トゥーリトル」だ。「しょぼい減税」に過ぎない。消費税率を完全にゼロにすると23.4兆円減税。消費税率ゼロを満額の財源を伴って決定できる。

 万が一、高市内閣が消費税率1%への減税を撤回したら内閣支持率は2割を割り込むだろう。財務省はそれで構わないとのスタンスだ。高市内閣が消費税減税の方針を堅持する場合は、財務省が倒閣活動を激化させる可能性が高い。

 疑惑デパートの高市内閣。最後の命綱は消費税減税だ。高市内閣が自ら命綱を断ち切るのかどうかも目先の最重要注目点になる。


<プロフィール>
植草一秀
(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。経済金融情勢分析情報誌刊行の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門第1位。2002年度第23回石橋湛山賞(『現代日本経済政策論』岩波書店)受賞。著書多数。
HP:https://uekusa-tri.co.jp
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