杭打ち業者税金ピンハネの実態~福岡市発注工事
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福岡市発注の公共工事において、納税者をあざ笑うような杭工事業者の受注実態が発覚した。問題の工事業者は福岡市西区に本社を置く末広産業(株)(佐藤九一郎代表)。従業員わずか5~6名、工事用の機械も持たない同社が一次下請に入り、工事代金の一部を事実上ピンハネしている状況だ。
データ・マックスは、同社が施工に関与した公共工事の関連文書を福岡市に情報公開請求。入手した資料から、過去3年間の市発注工事において、同社が施工に関わった26件すべてが一次下請であったことが判明した。施工体系図や下見積書からまとめた受注実態を以下の表に示す。
施工体系図より
上掲の表で明らかな通り、末広産業がすべての工事で一次下請になっている。昨年横浜で発覚した杭打ちデータ偽装事件を引き起した「旭化成建材」や、同様の行為を行っていたとされる「ジャパンパイル」といった大手業者が、末広産業の下に付いた形だ。技術者や機材を多数保有し高い施工能力を有する大手が、社員数5~6名、重機も保有していない末広産業の下請けに入ることは、どう見ても不自然。末広産業は、ろくに仕事もせず工事費だけを抜いている可能性が高い。
直近の取材で、末広産業の佐藤代表は自社のことを「工事業者」ではなく、「商社」だと話している。つまり、特定メーカーの杭を元請に販売する会社という意味だが、それなら施工体系に入らず、材料だけを販売すれば済む。末広産業が施工体系図に入っているということは、施工実務に携わっているということ。しかし、商社が実際の工事に参加するはずがない。
横浜で発覚した杭打ちデータ偽装。一次下請に本業が建設業ではない「日立ハイテクノロジーズ」が入り、施工を行わない同社が旭化成建材に下請発注していたことが問題となった。構図はこれと同じである。
最大の問題は、会社の実態から言って施工実務が"できない"末広産業が、当然のように工事代金の一部を受け取っていることだ。上述の26件はすべて公共工事。公金が、施工もしない企業に流れているのは事実だ。元請と下請の契約は民間によるものだが、工事費の出どころは税金。事実上の発注者は「市民」なのであり、税金のピンハネが許されるとは思えない。事実関係の確認を求め、末広産業に質問状を提出したが、出稿までに回答はおろか連絡さえなかった。
施工実態に問題はないのか――。データ・マックスの取材に応じた国交省九州地方整備局建政部は「施工を一括して下請に出す『丸投げ』行為の禁止は常識だが、一次下請として、技術者を現場に配置していれば、建設業法上問題はない。ただし、市民目線でみれば、疑問を持つ方もいるだろう」として、不適切との見方を示している。
末広産業絡みで浮上した疑惑は、これだけに止まらない。次稿では、開示された文書をもとに、同社の受注実態について詳しく報じていく。
【東城 洋平】
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