「爆買い」御三家に急ブレーキ!中国関税引き上げでブローカーの商売あがったり(後)
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経営管理ビザを取得して爆買い代行を行う在留中国人
爆買いの元祖は、ブローカーである。日本で購入した商品を中国に持ち帰り、高値で販売するブローカーが、最初にターゲットにしたのが子ども用の紙おむつだった。ブローカーが、ドラッグストアなどで紙おむつを買い占めたため、店頭で品切れが続出し、日本の利用者が利用できないという苦情が相次いだ。1人1個や2個までといった制限を設けた店もあったが、人海戦術をとるブローカーに太刀打ちできなかった。
儲かるとなれば、爆買いを代理購入する業者が登場する。西日本新聞経済電子版(2016年1月3日付)は、「爆買い代行」業者が、福岡市内に30あると報じた。
〈在留中国人が事務所開設に必要な在留資格「経営・管理」(経営管理ビザ)を取得して貿易会社を設立。日本人ブローカーと組んで、中国で人気の紙おむつ、粉ミルク、健康食品、化粧品、女性用タイツなどを爆買い。製品はコンテナ船で輸出。中国のインターネット通販会社に転売し、月間取引額が数億円に上る業者もあるという〉
こうした爆買い代行業者ばかりではない。中国人留学生にとって、爆買い代行は、生活費と授業料を稼げるアルバイトだ。手を広げずに、化粧品などに特化する。商品は中国のメッセンジャーソフトである「QQ」や「微信(ウエイシン)」を通じて販売する。
爆買いを当てに設備投資した会社はしっぺ返しを食う
中国人観光客は、ブローカーを見習って、爆買いに走った。電気炊飯器や温水洗浄便座を何台もまとめ買いした。円安・人民元高が進み、中国に持ち帰り転売すれば、儲けることができたからだ。
だが、そんな爆買いは、ピタリと止まった。中国の経済成長が鈍り、円高・人民元安の逆に振れ、この1年で日本の商品のお得感は2割近くも失われた。それだけで爆買いがしぼんだわけではない。
中国人観光客が爆買いをやめた理由は、ブローカーと同じ。税制が変わり、中国に持ち帰って転売しても、コストが合わなくなったからだ。中国人観光客は爆買いをしなくなっただけで、日本への旅行熱が冷めているわけではない。百貨店の免税品の売上高が2ケタのマイナスと激減しているにもかかわらず、免税品の購買客数は40カ月連続で増え続けていることに現われている。爆買いの部分が剥げ落ちて、中国人の消費行動が他の外国人観光客の水準になったということだ。
そのため、中国人観光客による爆買いを当てにして設備投資を行った会社は手ひどいしっぺ返しを食う。「爆買い」の代名詞となったラオックスは免税店チェーンを全国に広げたが、売上の落ち込みで苦境に立たされている。
『週刊現代』(16年7月9日号)は、「『爆買いバブル』終了で閑古鳥が鳴く、銀座の高級デパートの惨状と後悔」をレポートしている。中国人観光客は姿を消したが、日本人は戻ってこなかった。「もっと日本のお得意様を大事にしておけばよかった…」と悔やんでいるそうだ。これを「覆水盆に返らず」という。
(了)
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