中国経済新聞に学ぶ~中国人の日本観光市場に異変(後)
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中国人の訪日旅行の全盛期には、10人のツアーでも1カ月前の予約で飛行機と宿泊先を確保できないことがしばしばあった。そのため、中国の旅行会社は1年前から飛行機と部屋を確保しておく方法をとるようになった。しかし今年に入って来日旅行客の集客が減ったため、多くの旅行会社は十分な旅行客を集められず、航空会社とホテルに毎月多額の違約金を払わなければならなくなってしまった。
ある旅行会社が1カ月で支払う違約金は1,000万円にも達する。そこに旅行会社自身の損失を合わせると、決して少なくない数の旅行会社が経営を維持できなくなると陳部長は語る。「一部の旅行会社はおそらく2、3カ月しかもたないと思う。秋の行楽シーズンまで待たずに倒産してしまうだろう」。
過去数年、「低価格ツアー」はたしかに日本の観光市場に大量の旅行客をもたらした。しかし、「低価格ツアー」のサービスの悪さ、質の悪いホテルへの滞在、中国人が経営する免税店で高価格商品を買うよう旅行客に強要するなどの問題によって、多くの旅行客から不満が出た。このことも「低価格ツアー」の募集に影響を与えた。だが、もし適正価格の「高価格ツアー」に戻し、突然値上げすれば、多くの旅行客の参加は見込めなくなるだろう。これも現在多くの中国旅行会社が頭を悩ませている問題なのだ。
東京にある政府視察団の接待を専門とする旅行会社の社長・張先生は「高価格ツアー」の見通しを憂慮している。習近平政権は幹部の海外渡航を厳格に制御しているため、市長ですら1年に1度しか海外に行けず、かつ2年間は同じ国を訪問できない。このため政府視察団の数が激減しているという。同時に、国有企業も公務員式の管理を導入しているため、国有企業の幹部の海外渡航も制限を受けている。「今年の日本旅行市場におけるもっとも顕著な問題は。幹部視察団を接待するための高級車が、去年は借りられなかったのに、今年は大量に余っていて、1週間で1度も使われないこともあるということだ」と張社長は語る。
円高も来日中国人の観光市場を直撃している。3カ月前のお花見シーズンと比べて、日本円は15%も値上がりしている。元々は100人民元を1,800円に変えられたのに、今はたったの1,500円だ。レートの変化も中国人旅行客の購買意欲を削いでしまう。「中国人の財布の紐がきつくなった」というのが、中国の各旅行会社で日本市場を受け持つ幹部たちに共通の感覚だ。
中国の「爆買い」時代の終焉、そして中国人観光客の増加幅の停滞は、日本の旅行市場に打撃をもたらすに違いない。
(了)
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