金融再編待ったなし~九州の信用金庫(3)
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杜撰なデータ管理の実体
2.南郷信用金庫
もう一つの例が高鍋信用金庫と同様、宮崎県の南郷信用金庫(宮崎県日南市)。下表の「金庫概要」(1)を見ていただきたい。役職員数は121人となっている。しかしディスクロージャーによると2015年3月末の職員数は205人。常勤役員数は7人で計112人。一歩譲って非常勤理事6人を加えても119人で、どうしても人数が合わないのだ。
そこで7月19日の午後2時過ぎ、南郷信用金庫のシステム課長に照会をしたが、すぐには回答をもらえなかった。(以下南郷信用金庫のホームページより)
「金庫概要」(1)
役員一覧(2015年3月末)
午後3時30分頃に連絡が入り、「121人は計算間違いで112人が正当です。ご指摘いただきありがとうございました。すぐに変更させていただきます」との言葉が返ってきた。その直後に下表の「金庫概要」(2)の通り、役職員数は9人減の112人に修正されたのだ。
問われる経営陣の危機管理能力
南郷信用金庫の「金庫概要」(平成27年3月31日現在)は指摘されるまで1年近く、役職員数
を8%水増ししていたことになる。担当課長に「プロバイダーを経由しているのか」どうかを聞くと、「私どもで管理しています。この件は単純な計算間違いでした」と軽い答えが返ってきたが、その言葉のなかには、「たかだか9人違うだけなのに、なぜそんなことが問題になるのだろう」との思いが潜んでいるように感じられた。
はたしてこの人数の修正も担当理事に報告したかどうかは疑問だが、いずれにせよ同金庫の情報管理体制の杜撰さを露呈した格好だ。今回は高鍋信用金庫と南郷信用金庫の杜撰なデータ管理を取り上げたが、他の信用金庫にも同じようなことがあるものと推測される。今はインターネットであらゆる情報が手に入り、いつまでも記録として残せる時代である。
だからこそ信用金庫業界は、正確な情報を速やかに顧客に提供することが求められているし、また監督庁も、各信用金庫のホームページにも目を光らせることが求められているのではないだろうか。
いよいよ次回からは、九州の信用金庫(28)の実力度を検証していくことにしたい。(つづく)
【北山 譲】南郷信用金庫の「金庫概要」(2)
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