2024年11月27日( 水 )

日露首脳会談~安倍首相が「故郷に錦」

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日露首脳会談の予定会場 大谷山荘 9月3日撮影<

日露首脳会談の予定会場 大谷山荘 9月3日撮影

 安倍晋三首相はお盆休みを利用し、先月13日午前、山口県長門市油谷に眠る父の晋太郎元外相の墓参りを。翌日には山口市田布施町に赴き、祖父・岸信介元首相の墓参りをして帰京していた。

 今月2日、安倍首相はロシア極東のウラジオストクを訪れ、プーチン大統領と会談した。シベリアでのエネルギー開発を柱とした経済分野での協力拡大について意見交換し、プーチン大統領に来日を要請。両首脳は12月15日、安倍首相の故郷である山口県長門市で、『おもてなし』会談することで合意した。
 安倍首相がお盆に帰省した真の狙いは、プーチン大統領を招待するために、事前に地元への根回しを行うためだったとの見方もある。

 会談する場所は、安倍首相の選挙区である山口県第四区(下関市・長門市)の湯本温泉だ。

 同温泉は、バブル期の1991年には36万人だった宿泊客は年々減少し、2014年には18万3,000人とバブル期の約半分にまで落ち込んでいた。その影響を受けて14年1月に、150年続いた老舗の白木屋グランドホテルが倒産した。長門市では、白木屋グランドホテルの廃屋が宿泊客の目に触れるため、関連施設を含む跡地(約1万3,300m2)を約1億1,300万円で購入。湯本温泉旅館協同組合(11軒)は、国と同市から補助金を受けて、昨年12月に解体し更地にしている。

 危機感を持った長門市長の大西倉雄氏は、長野県軽井沢町の総合リゾート運営会社「星野リゾート」(本社・長野県:星野佳路社長)に、温泉街の再生に向けたマスタープランの策定を委託。星野リゾートは今年4月25日、同市と白木屋グランドホテル跡地に、自社温泉ブランド『界』を建設する協定書を締結し、2019年中のオープンを目指すことになった。星野社長が湯本温泉への進出を決断した裏には、官邸からの強い働きかけがあったとの見方が有力だ。

解体された白木屋グランドホテル跡地<

解体された白木屋グランドホテル跡地

関連施設の跡地<

関連施設の跡地

 安倍首相が日露首脳会談を長門市で開催することを決めた背景には、『湯本温泉』を世界に発信し、星野リゾートの進出をバックアップすることが目的だったとも言われている。なお、首脳会談の会場は、温泉街随一の「大谷山荘」と見られている。同山荘の宿泊予約状況を見ると、12月15日は満室となっているものの、前後は空き室ありとなっているからだ。

 亡父・晋太郎元外相並びに祖父・岸信介元首相がなし得なかった、北方領土の返還や平和条約締結の成果を、墓前に報告できるかどうか――。オバマ大統領や国際社会からスタンドプレイとの見方もあるなか、安倍首相にとって地元での首脳会談は、まさに『故郷に錦』を飾れるかどうかの大博打でもあると言えるのではないだろうか。

【データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 

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