リコールで冷や水をかけられたサムスン「Galaxy Note7」(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
8月19日から出荷を開始し、販売好調が続いていたサムスン電子のスマートフォン「Galaxy Note7」のリコールが発表された。
「Galaxy Note7」は、防水、虹彩認識などの機能が新しく採用され、市場の評価は高く、サムスン電子のV字回復に貢献するのではないかと囁かれていた。一部地域では品薄が発生するなど、販売好調が続き、今まで250万台が出荷された。ところが、バッテリーの発火、爆発が複数発生し、サムスン電子は全量リコールを余儀なくされた。「Galaxy Note7」のバッテリーの発火事例が初めて報告されたのは、8月24日のスマホコミュニティサイトで、その後、韓国だけでなく、外国でも複数発火の報告が上がるようになった。
サムスン電子は、すぐに調査に乗り出し、発火の原因はバッテリーの欠陥であると認め、最初はバッテリーの交換で問題を解決しようとした。ところが、サムスンは9月2日に急遽、全量リコールを決定した。サムスンのリコール発表後も、9月9日に米国消費者安全委員会(CSPC)では使用中止の勧告が出たり、世界の航空会社からも「Galaxy Note7」の機内中止および充電を中止する勧告が出て、波紋が広がっていた。
このような状況下で、サムスン電子の株価も12日に7%近く下落し、7月28日以降初めて150万ウォンを下回る146万5,000ウォンをつけた。時価総額は1、日で16兆ウォンが吹っ飛ぶような結果になった。
ニューヨークタイム誌では、今まで有利な立場にあったサムスン電子であったが、今回のリコールでアップルに主導権を奪われる可能性も出てきたとしている。それから韓国の業界関係社も、今回のバッテリー問題は、サムスンの信用を失墜させることになるだろうと見ている。「Galaxy Note7」のバッテリーは、リチウムイオン電池である。リチウムイオン電池はプラスとマイナスの電極、セパレーター、電解質で構成されている。リチウムイオンの粒子が電極のプラスとマイナスを往復することで、充電したり、放電したりしている。
携帯端末にリチウムイオン電池が広く使われるようになった理由は、リチウムイオン電池は、体積に対して充電容量が最も大きいからだ。同じ体積のニッケルカドミウム電池に比べ、3倍の容量がある。それに、他の電池に比べてメモリ現象も少ないので、リチウムイオン電池は重宝されている。
しかし、リチウムイオン電池の短所は、値段が高いことと、熱に弱いことである。今回のバッテリーの発火、爆発もこれに起因している。リチウムイオン電池は、リチウムイオンが電極の間を自由自在に往復できるように、圧縮された可燃性の化学化合物をなかに入れている。ところが、充電などをする際に、どうしても熱が発生する。
この熱をうまくコントロールできないと、バッテリーが発火したり、爆発したりするようなことが起きる。普段はこのようなことが起こらないように、保護回路を設けたり、熱を処理するための放熱板などをつけたりする。今回は、何が原因でこのような発火、爆発に至ったのか、原因はまだ究明されていない。今回、発火しているバッテリーのメーカーは、Dongguan ITN Electronicsという中国メーカーであることは確認された。上記のメーカーでパッケージされたものを、サムスンSDIが輸入し、サムスン電子に納品したという。
(つづく)
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