2024年12月26日( 木 )

混沌とする豊洲新市場問題、焦点は建設が進められた過程(中)

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都の土壌汚染対策は絵に描いた餅と酷評

豊洲新市場<

豊洲新市場

 1999年11月には、築地市場の業界8団体でつくる「築地市場再整備推進協議会」が8対2で移転に賛成。速やかに移転に方向転換すべきだとの意見が大勢を占めた。まとまった土地があるのが、かつて東京ガス工場があった豊洲地区だった。移転場所をそこにしたものの、石原慎太郎都知事時代、移転に当たり土壌検査したところ、土壌から基準値の4万倍の有害物質ベンゼンが検出されてしまった。

 そのため、2007年4月、現在放送大学和歌山学習センター所長を務める平田健正氏を座長とした専門家会議を設置。盛り土をすることで汚染対策すべきとの結論に達した。だが、同年8月に設置された、現在東京電機大学学長の原島文雄氏を座長とした技術会議では、なぜか盛り土が地下空間へと変貌。それが世間に公表されることなく工事が進んだ。

 実は猪瀬直樹都知事時代に一度、汚染対策工事の工期を最大1年間、また市場施設の竣工時期を14年度中から15年度へ1年の延伸をしている。汚染対策が不十分と感じたからだろうが、このときは地下空間については報告されなかった。小池都知事が新たに就任し、移転延期を表明したことで地下空間が表面化。加えて新聞や週刊誌などがさまざまな観点から問題を追及したことが、今起こっている騒ぎの引き金となった。

 今年9月、この問題を追及してきた日本共産党東京都議会議員団が、徹底検証のための提言を発表している。簡潔に今回の問題が整理されているので、引用しつつ見ていきたい。

 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策には858億円が投入されたが、極めて杜撰で、都の土壌汚染対策を検証するために都議会に招致された第三者の専門家からは、都の土壌汚染対策は「絵に描いた餅」と酷評されていたという。しかも、専門家会議に基づく建物下4.5mの盛り土をしなかったにも関わらず、盛り土したと虚偽の報告で都民をあざむいた。
 共産党都議団は、建築の専門家から地下空間の指摘を受け、9月7日に水産卸売場棟を調査。その結果、水産卸売場棟の下は盛土されず地下空間となっており、しかも水が溜まっていることが確認された。共産党都議団がこれについて中央卸売市場の担当部局に質問したところ、水産棟、青果棟などすべての建物下に盛土がされず地下空間となっていることを初めて認めたのだ。

 果たして、この水にはベンゼンなどの有害物質が含まれているのか。都が同17日に発表した検査結果によれば、ヒ素が基準値(0.01mg/L)以下の0.003mg/L、六価クロムが基準値(0.05mg/L)以下の0.005mg/L含まれていたという。少なくとも平田氏は、この程度では有害ではないとし、都元幹部も「そんなこと言い出したら水道水も飲めなくなる」と言うほど。

 だが、そもそもなぜそんな水たまりができてしまったのか、構造設計や施工に問題はなかったのか。また地下水管理システムが稼働しているにもかかわらず地下水が溜まっているのは、実は制御できていないからではないか。地下水管理システムは、今後、何年にもわたって継続的に稼働し、年間30億円近く費やすとされている。こうした検証はこれから再びなされていくことになるだろう。

(つづく)
【大根田 康介】

 
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