雨後の筍のように韓国で増え続けるコーヒーチェーン店(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国の1人当たりのコーヒーの消費量は、年間484杯である。韓国のコーヒー市場規模は、全体では5兆4,000億ウォンであるが、その内訳を見ると、インスタントコーヒーが1兆8,000億ウォン、コーヒーチェーン店が2兆5,000億ウォン、残りは缶コーヒーなどのスーパー等で販売されているコーヒーである。
韓国にコーヒーチェーン店の旋風を巻き起こしたのは、スターバックスである。シカゴ発のスターバックスの1号店は、1999年にソウルの梨花女子大学の近くに出店した。繁華街の好立地を中心に出店をするというスターバックスの戦略は見事に的中し、成長を続けている。
このスターバックスの成功に刺激されて、韓国国内のコーヒーチェーン店もこれに対抗するため、チェーン店を増やしていった。
一時期、急激な成長を遂げ、店舗数1位を誇っていたカフェベネは、最近は韓国国内では業績に陰りが見え、海外展開に力を入れている。現在、業界の1位はスターバックスであり、売上高、利益率においてダントツの1位である。スターバックスの特徴は、首都圏を中心に攻略しているし、独自の戦略の下に展開されている。
国内ブランドとしては「EDIYA(イディア)」があるが、イディアは現在、全国的に出店をしていて、店舗数(1,689店)では1位になっている。イディアは店のサイズも比較的に小さく、低価格を打ち出し、市場に食い込んでいる。店舗数3位は前述したカフェベネで、835店である。4位はロッテリアが経営しているアンゼリナスで、823店舗になっている。それでは、なぜ、これほどまでに、コーヒーチェーン店は増え続けているだろうか。
1つ目の原因は、韓国の自営業の高比率であろう。韓国では会社を辞めると、再就職するのがとても難しく、会社をリタイヤすると自営業を始めるケースが多い。自営業のなかでは、食堂などに比べるとこちらのほうが軽い労働であり、コーヒーを楽しむことから連想される余裕のある仕事のような印象があり、自営業としてコーヒーチェーン店を選択することが多い。それに、フランチャイズなので、経験が少なくてもフランチャイズ本部のサポートを受けられるというメリットもあるため、比較的に選択しやすくなるという。
しかし、これもいろいろな会社が入り乱れ、業界の競争が激化して、今はレッド・オーシャン化しつつある。繁華街になると、数メートルごとに、コーヒーショップがあることも珍しくない。それに、異業種からの参入もある。マクドナルド、KFCなどをはじめ、コンビニでもコーヒーを売っていて、競争の激しさが増している。さらに、景気悪化で財布の紐が硬くなって、学生を中心に低価格コーヒーを求める傾向もある。
その反面、ストレスの多い韓国社会では、息抜きの場所としてのコーヒーショップの機能がある。食事を終えた後、お店に寄ってコーヒーを飲む光景も増えている。
コーヒーショップは、コーヒーを飲むだけの空間というよりも、別の意味合いがある。韓国の若者は、就職氷河期を迎えているが、実はコーヒーショップでインターネットをやったり、就職試験の準備をしたりしている。経済が悪化した現在では、コーヒーチェーン店は少ない費用で、人間関係を構築できる場所でもあるのだ。このように増え続けているコーヒーチェーン店は、今後、減少するだろうという意見もある反面、地方にはまだそれほどコーヒーチェーン店がないので、まだ伸びる余地があるという意見もある。
「コーヒー1杯いかがですか」が挨拶代わりになっているほど、韓国でコーヒー文化は定着しているが、今後、コーヒーチェーン店が増えていくかどうかは微妙である。(了)
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