大谷翔平の覚醒、日本ハム最大11.5ゲーム差からの逆転優勝
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9月27日、2位のソフトバンクホークス(以下、ソフトバンク)が粘りを見せて勝利したため、北海道日本ハムファイターズ(以下、日本ハム)の優勝決定は翌28日に持ち越された。しかし、この結果が、結果的に28日の「大谷翔平今季初完封での勝利!」をともなうリーグ優勝につながった。ドラマを呼び込む運力も大谷は群を抜いている。
流れを変えた15連勝
今季の日本ハムは、最大11.5ゲーム差を巻き返し、4年ぶりのリーグ優勝にこぎ着けた。中盤まで独走状態にあった現2位のソフトバンクとの月別勝敗数(勝率)は以下の通り。
6月までソフトバンクは、怒涛の勢いで優勝に向けて快進撃を続けていた。この時点で2位の日本ハムとのゲーム差は最大11.5ゲーム差まで開いていた。しかし、6月後半から日本ハムの巻き返しが始まる。巻き返しの切り口となったのは6月19日の対中日ドラゴンズ戦。3-2で勝利(勝ち投手:大谷)した。ここから7月12日のオリックスブルーウェーブ戦(3-4)で負けるまで、なんと15連勝である。マジック点灯目前というソフトバンクの勢いを完全に止めた。
7月の両チームの勝率は、日本ハムが勝率.809(17勝4敗)、ソフトバンクが勝率.500(11勝11敗)。ソフトバンクが決して悪いわけではなく、日本ハムが凄すぎた。この結果、ゲーム差が11.5ゲームから4.5ゲームまで縮まった。
この15連勝が両チームの選手たちに大きな影響をもたらしたように見えた。ソフトバンクの中継ぎ陣が不調となり、打線も点を取れなくなってきた。選手たちの士気が下がっているように思えた。逆に日本ハムは大谷翔平の3勝をはじめ、打者陣の活躍などでどんどん士気を高めていった。
栗山監督の指揮も素晴らしかった。7月3日の対ソフトバンク戦「一番投手大谷!」。初回先頭打者ホームランには度肝を抜かれた。栗山監督は「一番(状態の)いい打者に多く打席に立たせたかった」とコメント。レアード(現本塁打数パ・リーグ1位)を7番に置く打線を組んだり、8月にはそれまで抑えで活躍していた増井を先発に転向させたりした。この柔軟性のある指揮が、逆転優勝劇をもたらした要因の1つではなかろうか。
覚醒=解説者を沈黙させる投打の活躍
快進撃を続けた日本ハムだが、そのなかでもやはり大谷の存在は、特筆すべきである。大谷は、昨年投手として素晴らしい成績(15勝5敗)を残しているが、今年は打者としても覚醒した。
大谷翔平の2刀流としての凄さが、世界に類を見ない選手レベルになってきている。大谷が日本ハムに入団してから色んな解説者などに「投手に専念したほうが良い」「打者の方に専念したほうが良い」などと言われてきたが、そういう事を言う人が少なくなってきた。当然である。投手としては最速164kmのストレート、打者としては上記の数字をたたき出す選手なのだ。これから数年後にはメジャーリーグに挑戦する可能性もあると思うが、メジャーに行っても2刀流で活躍する姿を見たいと思っている野球ファンは多いのではないだろうか。
選手たちの“士気”と栗山監督の“指揮”2つの「シキ」が上手く絡みあいリーグ優勝を勝ち取った日本ハム。クライマックスシリーズ、日本シリーズとまだまだ戦いは続く。はたして、リーグ優勝をもっていかれたソフトバンクまたは千葉ロッテマリーンズの逆襲はあるのか。まだまだ目が離せない。
【奥 隆司】
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