ノーベル医学生理学賞受賞の大隅良典氏~地元同級生の語る人物像
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3日、福岡市出身の大隅良典・東京工業大学栄誉教授(71)が、2016年のノーベル医学生理学賞を受賞したというニュースが駆けめぐった。大隅氏のノーベル賞受賞は、日本人では25人目となり、福岡県出身者としては初。福岡出身者の世界的な栄誉に、地元は喜びに沸いている。
大隅氏とは小中高の同級生であり、ともに毎日登下校をする間柄だったという福岡市議会議員の藤本顕憲氏は、大隅氏の人柄等について、次のように語る。
「彼の性格を簡単に言うと、聡明で明朗、そして好奇心が旺盛でした。また、記憶力が抜群に良いのでしょうか、とくに勉強をしている様子はなかったけれども、成績が良かった。友達のなかでは、前に前にと出るタイプではないけれど、別格というか、一目置かれているような存在感はありました」。大隅氏の少年時代をそう振り返ると、大隅氏の人格形成の基礎として、家庭の雰囲気の良さもあったのでは、と藤本氏は指摘する。実は大隅氏は、日本史学者の長沼賢海氏を祖父に持ち、父の大隅芳雄氏もかつて九大工学部の教授を務めた人物、さらには実兄の大隅和雄氏も東京女子大学名誉教授を務めるなど、言わば学者一家の“サラブレッド”。そうした家庭環境で育ったことが、大隅氏の今につながっているのかもしれない。
「かと言って彼は堅物というわけでもなく、酒もよく飲みますし、人間としての幅があり、非常に魅力的な人物です。また、家庭の雰囲気も決して堅苦しくはなく、非常に柔らかな、良い雰囲気の家庭だったと記憶しています」(藤本氏)。最後に、大隅氏の受賞についてのコメントを求めると、「現在、日本の大学においては、基礎的な分野が疎かにされています。そうしたなか彼は、最も基礎的な分野に着目して、人が取り組まない分野で今回、ノーベル賞を受賞されました。私には今回の大隅氏の受賞は、現在の国の学問の在り方に、ある種の警告を発しているようにも思えます。とはいえ、オリンピックのメダルでもノーベル賞でも、地元出身者のこうした受賞は、我々を勇気づけ、元気づけてくれます。今回の受賞が、後に続く若い人たちを鼓舞してくれるのでないでしょうか」と藤本氏は締めくくった。
記者は、大隈氏と同じ福岡高校の卒業生である。また、同じ化学部の後輩でもある。今回の偉大な先輩の栄誉を、まずは心よりお祝い申し上げたい。
【坂田 憲治】
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