嘉麻市産廃拡張許可取り消し訴訟で裁判所が現地進行協議
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福岡県嘉麻市で(有)エコジャパンが操業している産業廃棄物最終処分場(安定型)の拡張を福岡県が許可したのは違法だとして、地域住民が福岡県知事を相手取って許可処分取り消しを求めている訴訟で、福岡地裁(片山昭人裁判長)は10月3日、嘉麻市熊ケ畑の処分場現地で進行協議を行い、片山裁判長らが、原告住民、原告側弁護士、福岡県職員らとともに現地を訪れた。
片山裁判長は、法廷の法衣姿や背広姿ではなく、ポロシャツ姿に運動靴で、処分場内外を真剣に見て回った。その姿から「現場を見るため本気で処分場に入る気満々のいでたち。アリバイ作りのために現地を見たのではない。行政勝訴の『結論先にありき』ではない」(原告側弁護士)姿勢がうかがえた。地域住民50人以上が地元集落の沿道で、「この処分場の現状をみてください」「迫りくるゴミの山の直下で生活しています」などの横断幕を掲げて、飲料水への水質汚染や生活環境悪化などの不安を裁判長らに訴えた。
原告ら住民は現地進行協議後、嘉麻市山田で集会を開き、弁護士、原告が“現地調査”の結果を報告した。住民らが産廃処分場内に立ち入るのは、操業差し止めを求めた仮処分申請での現地進行協議以来。産廃処分場内の大半は、周囲の地形の起伏にさえぎられて、処分場の外から見ることができない。
処分場内に入った原告は「思っていた以上にきれいになっていた」と異口同音に語った。中村春夫氏(72)は「本来捨ててはいけない物を詰めたフレコンバックや、タイヤが積んであった」と述べ、「将来、処分場内に埋めて捨てられるのが懸念される。監視をしておかないといけない」と決意を込めた。尾田卓夫氏(67)は「大雨の後なのに、処分場内の道路には砂利石が敷き詰められていた。裁判所が来るので、きれいにしていた。一足飛びに解決できないが、地道にやっていくことが解決につながる」と呼びかけた。
高橋謙一弁護士が「きょうは、いわば『授業参観』だから、いい子ぶっていた。それでも、タイヤが丸ごと捨てられ、木材・布などが捨てられていた。本当の操業実態を裁判官にわかってもらうかが大切だ」と指摘。「裁判が続き、みなさんが反対し続けていることは業者にも県にもプレッシャーになる。まじめにしなければいけないので、それが住民の生活を守ることになるし、ずっと『いい子』ぶるのは難しい。きょうのような操業がウソだと暴くことができなくなるのは、住民があきらめたときだ」と述べた。
笹尾正原告団長は「今まで野放図だったが、住民の監視、私たちの反対があるので、エコジャパンも気を使っている。嘉麻市議会も9月議会で、拡張許可取り消しを県知事に求めた意見書を可決した。末永く力を貸してください」と訴えた。
同産廃処分場は、エコジャパンが1990年、県の許可を受けて、操業を開始。金属・プラスチックなどの「安定5品目」しか埋め立てができないが、木くずの混入、硫化水素やメタンガスの発生が確認されている。拡張前は、埋め立て面積約1万平方メートル、埋め立て容量約15万立方メートル。拡張後は、埋め立て面積約6万平方メートル、埋め立て容量140万立方メートル。住民らが水質汚染への影響を懸念し、拡張に反対したが、福岡県は2014年7月、拡張を許可した。
【山本 弘之】
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