管理組合理事長が語る鹿島建設マンション建替え訴訟(2)
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地震への恐怖
――実際に、耐震強度が35%しかないマンションで生活をされていて、不安はありませんか?
寺崎 耐震強度が35%ということは異常な状態です。姉歯事件では、耐震強度が50%未満のマンションは早い段階で、行政庁から除却命令が出されました。この除却命令は当然のことだと思います。私たちは、同じことを久留米市に求めているのです。
4月の熊本地震の際、久留米市は震度5強を記録しました。私たちのマンションも大きく揺れました。熊本地震の後、マンションの専有部分を中心に、大きなひび割れが発生していて、マンション全体におよんでいます。10月21日には、鳥取で大きな地震がありました。いつ、どこで、大地震が発生してもおかしくない状況になっています。
熊本地震の後、恐怖が募った方で、別のマンションに引越しをされた方もいます。このマンションに住む全員が、底知れぬ不安と恐怖を感じていることは間違いありません。――日本各地で大地震が頻発し、南海トラフ地震の予測も出ています。阿蘇山の火山活動と熊本地震の関係も、1つの説として浮上しています。久留米市で大地震が発生した場合、このマンションでの被害は、どのように想定していますか?
寺崎 耐震強度が35%である私たちのマンションは、地震による倒壊の恐れがあるといわれています。マンションの周囲には建物が密集しており、前面道路は常に渋滞しています。地震によりマンションが倒壊した場合、近隣の方や前面道路の車に乗っている方の生命を奪う可能性もあります。そうなれば、私たち区分所有者は「加害者」という立場に置かれます。
また、マンションが倒壊すれば、災害時の緊急輸送道路に指定されている国道209号線を塞ぎ、緊急車両が通行できなくなり可能性も十分考えられます。このようなことを踏まえて、久留米市にお願いしてきたのです。
さらに、鹿島建設が、図面に明記された梁を30カ所も施工していないため、外部避難階段と建物本体との接続が不完全な状態となっています。この外部避難階段も、地震により倒壊する可能性があると聞いています。東日本大震災の際、東京の町田市で、ショッピングセンター駐車場のスロープが落下した事故があり、設計を行った建築士に関する控訴審判決が、先日、報道されていました。まさに、私たちのマンションの外部階段と同じ状況です。町田市の駐車場のスロープは2階部分からの落下ですが、私たちのマンションは15階建てです。15階の高さの階段が倒壊すれば、どのようなことになるのか? 想像しただけで恐ろしくなります。――久留米市の地域係数は「0.8」であり、東京など地域係数「1.0」の地域と比べて、元々、耐震強度が2割少ないといわれています。適切に設計が行われていても他の地域よりも耐震強度が2割少ない上に、設計の偽装が行われていたということを、どう考えられますか?
寺崎 構造検証を担当してくれた仲盛氏の話によると、熊本も鳥取県の倉吉市も地域係数は「0.9」だそうです。とくに、熊本では史上最大級の震度7を2回も記録しました。そこの地域係数が0.9であり、1割少ない力に対する設計しか行われていないということです。地域係数が0.8の地域であれば、適切に設計や施工がされた健全な建物であっても、初めから、2割のハンデを背負っていることになるそうです。ましてや、このマンションの耐震強度は35%ですから、これを8掛けすると、耐震強度28%という、信じられない耐震強度のマンションということになります。
地震が、地域係数を考慮するなど考えられません。100%の力で、建物を揺らします。地域係数が0.8の福岡県内では多くの建物が、大地震により被害を受けると思われます。私たちのマンションの耐震強度は35%の8掛けで28%です。ひとたまりもありません。1日も早く、裁判が決着することを願っています。(つづく)
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