福岡市交通局の採点ミスが発覚しなかったワケ 請負者には知らされない採点過程
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NetIB-Newsの指摘によって福岡市交通局の工事成績評定に採点ミスが見つかった問題をめぐり、先月28日、市が市全体の工事成績を修正したことを発表した。発表によると、発覚した誤りは2011年度以降の同局発注工事348件中24件にものぼった。これほど多くの採点ミスがありながらも、これまで発覚しなかったのは、評定の最終結果しか公表されていないからだった。
これだけの採点ミスがありながらも、今まで発覚しなかったのはなぜなのか。
取材を通じて、その理由が浮かび上がって来た。交通局発表資料に記載のある、「公文書公開請求」がその謎を解くカギである。福岡市請負工事成績評定要領では、「評定結果は請負者へ通知するとともに、閲覧できるようにする」と規定されている。規定通り、工事完了後に市の職員による査定が行われ、100点満点で採点され、評定結果が請負者に通知される。それが「工事成績評定通知書」であり、下がその一例だ。
この書類でわかるように、考査項目ごとに採点され、合計が評定点となっている。通知を受けた請負者はこの文書で自社の施工点数を知ることになる。用心深い請負者なら、各項目の点数を計算して、間違いがないか確かめることもあるだろう。この通知書上での誤りは見つかりやすい。つまり、これまで採点ミスが発覚しなかったのは、請負者に届く「工事成績評定通知書」上の誤りではないことを示している。
では、誤りはどこにあったのか。
NetIB-Newsが指摘したのは、交通局監督担当課の評定表だった。工事成績は担当局の監督担当課と検査担当課、それぞれ2名ずつが採点したものから最終的に算出される。NetIB-Newsが採点ミスを発見したのは、監督担当課1名によるもの。これは請負者には通知されない文書であり、「公文書公開請求」により取得した資料だった。
ミスは採点の途中で起きていたのだ。しかし、請負者に通知されるのは最終結果のみ。閲覧できるものも、これと同じ最終結果だけだ。その過程は知るよしもない。だからこれまで発覚しなかったのである。交通局も、最終結果のチェックは複数回行なっていただろう。当然だ。請負者が目にする数字だからだ。反対に、途中結果は請負者が知ることはないことから、チェックが甘くなっていたのではないだろうか。なお、今回の発表では、採点過程で誤りがあったことに言及していない。
このような採点方法だと知らない請負者も多いはずだ。この評定システムの目的は公共工事の品質の確保にある。効率化や安全性、技術の向上のためには、どの部分がどのように良かったのか、悪かったのか、明確にわかったほうが品質向上につながるのは言うまでもない。それなら、採点の過程まで請負者に知らせるべきだ。解答用紙を返却せねば、復習できない。学校の試験と同じである。
【東城 洋平】
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