福岡市交通局の事故隠し 職員の過失認めるも公表せず
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福岡市交通局が隠蔽を図ったと見られているのは、同局が発注した「馬出九大病院前駅内外装仕上改良工事」の現場で起きた列車事故の原因。交通局の公式発表は、2016年1月30日午前5時47分頃、地下鉄箱崎線中洲川端駅発貝塚駅行の始発列車が、馬出九大病院前駅進入時に線路内に残されていた脚立と接触し、緊急停車したというものだった。けが人はなかったが、運休2本、遅延が2本発生し、乗客約150人に影響が出ていた。始発電車だったこともあって最小限の被害。しかし、ラッシュ時の出来事だったら、大事故につながった可能性が高い。
事故原因となった「脚立」はなぜ残されたままになっていたのか。
入手した事故報告書によると、当日は午前0時から午前4時まで、駅構内の改修工事が行われていた。線路内での作業だったこの日、交通局監督員の指示・立ち合いのもと、線路を閉鎖。電線を停電させるなどの処置が取られていた。脚立が使用されたのは、作業員が線路へ降りるため。線路内での作業を終えた午前3時半、撤収する際に脚立の撤去を忘れていたことが列車事故の原因となった。報告書では、以下の3点を事故の発生要因に挙げ、施工業者と交通局監督員の双方に過失があったとしている。
(1)交通局監督員は脚立が残っていることを施工業者に注意していたが、撤去を失念してしまったこと。
(2)交通局監督員は点検確認で、ホーム上を見ただけで、線路内の確認を怠っていたこと。
(3)双方とも工事現場への持込工具や材料のチェックリストを作成していなかったこと。NetIB-Newsの取材に応じた交通局は事故原因について、「当該事故については、交通局特有の作業である「線路閉鎖作業」において、線路閉鎖作業責任者資格を有し当日の作業終了時の安全確認を確実に行う責任を負った交通局監督員が、線路内に残された脚立の撤去について最終確認を怠ったことに主因がある」と回答。線路内の最終責任は交通局員にあることを認めている。
事故直後から「原因調査中」
事故後の午前8時40分、交通局はホームページ上で、事故発生の「お詫び」を発表。事故当時の様子や影響を伝える一方で、原因については「調査中」としていた。しかし、列車と衝突したのは脚立で、早朝まで線路内で工事が行われていたことは関係者周知の事実。“置き忘れ”が事故原因であることは明白だった。
第3者が脚立を線路内に置くはずはない。事故発生から2時間以上経過している段階で、「原因調査中」というのは、過失を公表したくない証拠である。自局にとって、都合の悪い情報だけを隠した形。その後も、事故の主因が交通局員であることを認める発表はなされていない。事実上の隠蔽。取材を進めていなければ、「業者の責任」で終わっていた話だ。
取材当初、事故発生原因には触れず、あいまいな回答を繰り返していた交通局。次項で、同局とのやりとりを詳報する。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
・過去の地下鉄事故 職員の重大過失を隠ぺいか~福岡市交通局◆建設情報サイトはこちら>>
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