2024年12月05日( 木 )

iPadで楽しく「脳若ケア」~認知症予防からリハビリまで

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 内閣府が発表した2016年度の高齢社会白書によると、昨年、日本の高齢化率は26.7%となり、今後も上昇し続けるという。超高齢社会の渦中にあり人生90年と言われる現代、健やかな老後生活を長く続けるためには、「運動をする」「食事に気をつける」「知的な刺激を受ける」など、健康的なライフスタイルを整えることが望ましい。

(株)サムライト 光岡 眞里 代表<

(株)サムライト 光岡 眞里 代表

 福岡市早良区に本社をおく(株)サムライトでは、iPadを用いた認知症予防トレーニングを開発し、全国に介護予防事業を展開している。介護予防とは、身体機能や認知機能の悪化を防ぎ、要介護状態の発生をできる限り遅らせること。
 同社の光岡眞里代表は、地元の公民館でシニア向けパソコン教室を開いていたときに、「継続してパソコン教室に通ってくるとコミュニティができる。継続がコミュニティを形成し、高齢者の介護予防になる。これがビジネスに繋がらないか」と考えた。その後、iPadの登場で可能性を感じた光岡代表は、パソコンではなく、より簡単なツールであるiPadを使った介護予防トレーニングを考案してゆく。ゲーム感覚で楽しみながら脳を活性化するプログラム「みつおか式脳若®トレーニング」の誕生だ。2016年度は全国64市町村の自治体が、介護予防事業の一環として同トレーニングを採用した。

 そして今年10月、同社は新たに介護施設向けのプログラム「脳若ケア」を開発した。「脳若ケアは、施設利用者に対して機能訓練士や作業療法士が手軽に取り組めるトレーニング機能を持ったプログラムです。iPadを利用してみんなで、または対面で、生活機能の向上を目指した訓練を楽しく行えます。例えば認知症の方に動物の鳴き声を聞かせて、何の声かを当ててもらうクイズがあります。鳴き声のあとに犬や猫など動物の映像を見せ、関連付け、思い出させる訓練をするのです。そのほか“お茶の入れ方”など作業確認のプログラムも多数あります。認知症を発症すると、お茶と急須とお湯がテーブルにあっても、どのようにお茶を入れるのか分からなくなってしまうこともあります」と光岡代表は言う。

 「脳若ケア」は、予防からリハビリまで多彩なプログラムが用意されているほか、「誰が、いつ、どんなプログラムを実施したか」など、履歴データをバックアップしたり、認知機能を測る尺度を記録することもできる。また、光岡代表は、「施設ご利用の方に、音楽を流しながら赤ちゃんや動物の映像をお見せしたり、音声を聞いていただくと反応がよいのです。安定して穏やかになられます」と、「脳若ケア」について刺激だけでなく、安らぎを与えるツールとしても活用できることを語った。

 同社は自治体の協力のもとトレーニング効果を科学的に検証し、「日本認知症予防学会学術集会」などで研究成果を発表している。また、九州大学大学院芸術工学院と共同研究を実施し、プログラムの開発に役立てている。来年1月15日には、福岡市内で「脳若ケア体験セミナー」を開催予定だという。詳細はHPを参照されたい。
 iPadを使った楽しいコミュニケーションツール「脳若ケア」を、認知症予防やリハビリ、健康寿命延伸のため、ぜひ介護施設やデイケアセンターなどで役立ててほしい。

<COMPANY INFORMATION>
(株)サムライト
代 表:光岡 眞里
所在地:福岡市早良区百道浜2-2-22 AITビル
TEL:092-852-5252
URL:http://nouwaka.com/

 

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