知り合いの銀行員から連絡が入った。福岡市内に拠点を置く、ある土木工事業者についての問い合わせだった。行員は言った。「当行とは取引のないその業者は、某信用調査会社の評点は高く、経営事項審査でも、自己資本比率など経営指標は悪くない。それでも、家賃の滞納が起きているらしい。何か情報あれば、教えてほしい」。
さっそく、情報収集へ走った。過去のデータでは、公共工事主体に、堅実な経営で内部留保も厚い。好調続く業界だけに、同社も大崩れはないはず。
そう思って、最新の決算書に目を通し、驚いた。売上は1億円台で推移するも、2期連続で大幅な営業赤字。過去の蓄積から、自己資本比率はまずまずだが、増加する借入金。数年来動きのない多額の貸付金があり、不良債権化している可能性大。販売管理費7,000万円のうち、交際費が3,000万円を超えている。まともな経営じゃないことは明らかだ。
業界が潤っているといえど、すべてがそうではない。憶測での判断は極めて危険である。
【東城 洋平】
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