非がなくても被告となるのが裁判だ
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裁判で被告となれば、一般的にイメージは悪い。「非があるからこそ、原告から訴えられるのだ」。そう思いがちになる。しかし、裁判はそんなに簡単なものではないのが、現実だ。
弊社が発刊する経営情報誌「IB」では、ほぼ毎号裁判事件簿を掲載している。そのコーナーで今年、最も登場頻度が高かったであろう1社が、福岡市内の戸建業者A社である。実に登場回数4回。いずれも被告で登場していた。先日、A社に対する信用調査の依頼があり、取材を行った。
A社経営者は開口一番、「(私から)裁判を起こすようなことはしない方針だ」と述べた。そして、「いずれも相手方原告に非がある」としたうえで、裁判となった4件すべてを、客観的証拠資料をもとに詳細に説明してくれた。原告の4者は建材販売業、建設業者2社、そして個人である。内容は割愛するが、和解に至った2件は原告が非を認めるかたちで終了。残り2件も、明らかに原告に非があり、A社の主張は「ごもっとも」というものであった。裁判中に、原告が手抜き工事を認めている事件もあり、訴えれば相手(A社)がひるむとでも思ったのだろうか。今年、裁判に時間と費用を大きく割かれたA社だが、企業活動にはつきものの、「公の場で争う」という経験は無駄にはならないだろう。とはいえ、最後に「訴状が届いても動じない。それでもイメージがね・・・」とA社経営者から本音が漏れた。
IB読者のなかには、裁判事件簿コーナーを必読されている方も多い。「被告」というイメージを先行されぬよう、お読みいただきたい。真実は常にひとつである。
【東城 洋平】
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