5年続いた乗っ取り騒動がようやく決着のアコーディア・ゴルフ(後)
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パチンコ・パチスロの平和の新オーナーの野望
PGMホールディングス(株)による(株)アコーディア・ゴルフの乗っ取りには、1人の人物の野望が存在していた。PGMの親会社である、パチンコ・パチスロ業界トップの(株)平和のオーナー石原昌幸氏だ。「パチンコ王」と言われた平和の創業者、中島健吉氏から平和を買収した石原氏は、成熟市場となったパチンコ・パチスロ機事業から、ゴルフ場事業を柱とする総合レジャー産業への脱皮を目指す。
まずは2011年11月、ゴルフ場2位のPGMを買収した。PGMは02年、米投資ファンドのローン・スターが(株)地産グループのゴルフ場を買収して立ち上げた運営会社で、05年に東証一部に上場した。PGMの親会社はローン・スターから平和に交代。次に、子会社に組み入れたPGMが、ゴルフ場首位のアコーディアのM&A(合併・買収)を仕掛けていく。
壮絶バトルの第1ラウンドは、12年6月28日に開催されたアコーディアの株主総会。双方によるプロクシーファイト(委任状争奪戦)によって開催中に議案の可否が終わらないという異常事態になった。2日間におよぶ前代未聞のマラソン総会の結果、会社側が勝利した。
第2ラウンドは、12年11月から13年1月にかけてのPGMによるアコーディア株のTOB(株式公開買い付け)。このとき、旧村上ファンドのレノが参戦した。大量の株式を買い占めてキャスティングボードを握ったレノは、自社株取得を行うことを要請する書簡をアコーディアに送り、TOB期限である13年1月17日の正午までの回答を求めた。イエスならPGMのTOBに応募しないが、ノーならTOBに応募するという内容だ。
アコーディアの回答はイエス。レノはTOBに応募しなかった。TOBが成立しなかった要因だ。究極の買収撃退策、焦土作戦
第3ラウンドは、究極の買収撃退作戦である。アコーディアは14年8月、保有する133ゴルフ場の7割に当たる90カ所をシンガポールのファンドに売却し、1,117億円以上の資金を手にした。その資金で450億円以上の自社株をTOBで買い入れた。
ゴルフ場の売却で資産を切り離すことで、本体には優良資産がなくなる。PGMの敵対的買収を撃退する焦土作戦だ。同時に、ゴルフ場の売却で得たカネで、レノから要求されていた「自社株買い」の原資を手入れた。一石二鳥の奇策だ。レノら旧村上ファンドはTOBに応募し、296億円で売却した。平和はアコーディアの買収を断念。15年7月、平和はPGMを完全子会社化して、PGMの上場を廃止した。
そして今回、村上世彰氏、野村絢氏の父娘と側近の三浦恵美氏は、買い増してきたアコーディア株全株を194億円で売却。前回分と合わせて490億円を手にした。これまで投じた金額は380億円程度とみられており、差し引き110億円程度の利益を挙げた。
アコーディアの乗っ取り騒動では、仕掛けた側の平和のオーナー石原昌幸氏は撃退された。一方、アコーディアの経営陣は、投資ファンドへの身売りに追いやられた。どちらも挫折した。その間隙を縫って、村上ファンドは漁夫の利を得たのである。
(了)
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