安倍外交総崩れで選挙先送りなら千載一遇
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、真の政権交代を実現するためには、民進党を解体し、汚れた部分を切り離すことが最重要とした、12月18日付の記事を紹介する。
12月15、16日の日ロ首脳会談で、安倍政権が日ロ関係前進にまったく成果を上げることができなかったことを受けて、1月の衆院解散の可能性が低下したとの観測が広がっている。
衆議院の任期は4年であるから、4年の任期を務めるのが筋である。憲法第7条による衆院解散は、「天皇の政治利用」そのものであり、厳に慎むべきものである。内閣不信任案が可決された場合の衆院解散は憲法第69条の規定に基づくもので正当であるが、7条解散はこれと違う。任期満了を基本とするべきものである。しかしながら、安倍首相に正論は通用しないから、安倍氏は自己都合、自己の利益だけを考えて衆院解散を決定するだろう。
12月の日ロ首脳会談、日米首脳会談、日中韓三ヵ国首脳会談、そして、2017年1月の訪米によるトランプ新大統領との会談などでの成果を掲げて、1月衆院解散、2月総選挙実施という青写真があることは間違いないと思われる。しかし、最大の成果を希望していた日ロ首脳会談が無惨な結果に終わったことで、1月解散戦略は大幅に後退したと考えられる。また、韓国政治情勢の激変で日中韓三カ国首脳会談も流れた。年末にハワイ・オアフ島の真珠湾を訪問しても、国民が喝采する理由はほとんどないだろう。
安倍政権が成長戦略の中核と位置付けてきたTPPも風前の灯である。もっとも、これは、日本国民にとって有害無益だから、風前の灯は国民にとっての朗報ではある。
とはいえ、解散総選挙の可能性が消滅したわけではない。今後の経済金融情勢と外交活動の結果によっては、解散戦略が再浮上することは十分にあり得る。
そもそも、1月の自民党大会が3月に変更されたのは、3月までに総選挙を行うための条件整備であったと見られる。本年は7月10日に衆参ダブル選を実施できるように、通常国会会期末が6月1日に設定されていたが、このチャンスも、解散総選挙実施の条件が整わずに利用しなかった。こうしたことが繰り返されると、最終的には、「追い込まれ解散」になり、選挙で惨敗するということが多い。麻生太郎氏も月刊誌で解散を宣言しながら、これを撤回。追い込まれ解散で惨敗して政権を失った。
次の総選挙まで時間があるなら、「安倍政治を許さない!」主権者勢力にとっては、大いなる恵みになる。「常在戦場」の気持ちで、いつ総選挙があっても勝利できるように備えておかねばならないが、残念ながら、現時点では安倍政治打倒の図式が完成していない。
最大の問題は民進党だ。代表の村田蓮舫氏は、12月7日の党首討論で「カジノ法案」を徹底攻撃した。その民進党が参議院の委員会でカジノ法案の採決を先導して、カジノ法の制定を実現させたのである。もはや、野党第一党としての自覚もなければ、責務も果たすこともできず、能力を失っていると言わざるを得ない。
既得権力の側が実行している既得権益を維持するための政治謀略戦略は以下の三つである。第一は、野党第一党の民進党を「ゆ党」にしておくこと。第二は、共産党と創価学会の共闘を阻止すること。第三は、人為的に「第三極」を創作し、これを「ゆ党」にすること。
現在の状況は、この三つの戦略が完全に実行されているものである。したがって、この状況を打破するには、まず、第一の民進党問題を解決することが絶対に必要なのだ。それは、具体的には、民進党を解体することだ。民進党を解体し、汚れた部分を切り離すことだ。これが最重要だ。民進党が自発的に解党できないなら、外から手を入れるしかない。総選挙までの時間が確保できるなら、これを断行することが俄然容易になる。
この問題を乗り越えずに、真の政権交代実現は難しい。※続きは12月18日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1618号「民進党の解体なくして政権再交代なし」で。
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