杭打ち業者の疑惑を追いかけ続けた6カ月(後)~ブローカー・末広産業
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NetIB-Newsでも反響の大きかった、杭打ちブローカー・末広産業の疑惑追及。調査開始から、一連の報道を終えるまでの約6カ月間、筆者の仕事はまさに「末広」一色となっていた。ピンハネ、丸投げ、建設業法違反の疑い。客観的証拠のそろった報道に、反論の余地を与えず、業界に真実を突き付けてきた。これまで記事にしなかった取材の裏側を述べていく。
突然の電話連絡 どよめいた社内
8月の下旬だった。会社に1本の電話が入った。電話を取った社員が筆者の名前を呼ぶ。「末広産業さんから電話です。」一瞬、社内がどよめいた。これまでまったくの無反応だった末広産業からの一報だった。用件を聞くと、「訪問して話がしたい」とのこと。そして、後日同社より2名やってきたのである。虚偽報告と報道した施工実績については「記載ミス」と言い逃れをしていたが、数の多さを追求すると黙り込んだ。報道の内容に間違いがあるか尋ねると、「お調べの通り」と白旗を上げた。最後には報道により、営業活動に支障が出ていると訴えてきたが、「事実を述べているまでのこと」と回答し、お帰りいただいたのは言うまでもない。
無駄ではなかった6カ月
6カ月にわたる取材で知り得た事実は膨大なものだ。すべてを余すことなく、関係各所に情報提供してきた。九州地方整備局、福岡県、福岡市はもちろん、国税にも、公取にも足を運んだ。可能性のある限り、打てる手段は打った。客観的証拠は揃っており、建設業法違反は明白だと考えるが、当初ひとつの目標に掲げていた「末広産業に行政処分を!」は実現に至っていない。これだけ調べ上げても、まだ行政は動かない。これが下請の壁なのだろうか。あくまでも、下請は元請との民間契約に基づくもの。元請けの談合を証明する客観的証拠ならすぐに動くはずだが、ハードルは高かったようだ。それでも、この調査報道を通じて、杭打ちブローカーの動きを止めたのは間違いない。同業者からは「末広さんは窮屈な営業になっている」「かつての荒っぽいやり方はみられない」、ゼネコンからは「取引をやめた」「取引は継続しているが、人を出すように確約させた。」という話を聞いた。業界へ警鐘を鳴らしたことを含め、この6カ月間は無駄ではなかった。当然、これで終わりではない。今後も末広産業についての情報収集は継続していく。
暗躍する不正業者はまだまだ存在する。この経験を糧に、来年も第2の末広産業を追いかけていきたい。
(了)
【東城 洋平】▼関連リンク
・杭打ち「末広産業」に建設業法違反の疑い~九地整「詐欺の可能性も」
・技術者5名で年間1,300件 ブローカー末広産業のありえない仕事ぶり◆建設情報サイトはこちら>>
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