ハゲタカファースト安倍政治の打破(4)
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政治経済学者 植草 一秀 氏
前述した5つの問題に対する日本の主権者の意思は、恐らく安倍政権と対立するものだろう。日本の一般国民、99%勢力は原発、集団的自衛権行使、TPP、沖縄米軍基地、格差拡大・消費税増税を求めていない。国民多数の意思とは逆の政治が実現してしまっている。
資本主義の行き過ぎと、1%のための政治を是正するうえで、活用するべきものが民主主義である。99%が結集すれば必ず1%に勝利できる。これが民主主義である。民主主義を活用して安倍政治を終焉させ、「1%のための政治」を「99%のための政治」に刷新することが求められている。
市民を分断する「策謀」と「術数」
民主主義制度の下で1%勢力が99%勢力を支配するためには、さまざまな「工作」が必要である。筆者は既得権勢力は「3つの策謀」と「5つの術数」によってこれを実現していると分析している。
「3つの策謀」とは、(1)民進党を「隠れ与党」とすること、(2)共産党と創価学会を離反させ続けること、(3)「隠れ与党」の第三極を人為的に構築すること、である。これによって、99%勢力の結集、大同団結が妨げられている。
「5つの術数」とは、教育、洗脳、堕落、弾圧、買収である。日本の教育は「覚える」「従う」の強制であり、「考える」「主張する」を排除する。「教育」というよりも「調教」に近い。99%勢力の判断はマスメディアによって洗脳されている。スポーツ、セックス、スクリーンの3Sによって民衆の関心が政治からそらされる。有識者は金力で手なずけられ、一般大衆には選挙直前の現金給付などの選挙買収工作が展開される。
「3つの策謀」と「5つの術数」によって、いわゆる「安倍一強体制」が構築されてきた。孫氏の兵法でいう「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」である。敵の戦術、戦法を知ることにより、事態打開の活路が開ける。
その第一は、主権者がすべてを疑う目を持つこと。塩野七生氏は著書『ルネサンスとは何であったのか』で「ルネサンスとは、一言で言えば、すべてを疑うこと」と述べている。米国民はメディアの情報操作を疑ったからこそトランプ氏を当選させることができた。日本の主権者もメディア情報の本当とウソを見分ける能力=メディアリテラシーを養わねばならない。
そして、何よりも重要なことは、選挙に際して、政策を基軸に、党派に関わりなく、主権者が主導して候補者を一本化することだ。そして、この統一候補を99%の主権者が連帯して支える。これを実現できれば、日本においても必ず99%勢力が政権を樹立できる。そのために、筆者らは「オールジャパン平和と共生」という市民による政治運動を創設した。次の総選挙において、この課題を達成して、99%勢力の政権を樹立しなければならない。
(了)
<プロフィール>
植草 一秀 (うえくさ かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)=TRI代表取締役。金融市場の最前線でエコノミストとして活躍後、金融論・経済政策論および政治経済学の研究に移行。現在は会員制のTRIレポート『金利・為替・株価特報』を発行し、内外政治経済金融市場分析を提示。予測精度の高さで高い評価を得ている。また、政治ブログおよびメルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。関連記事
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