明治以来の名門・スリーダイヤの凋落、三菱自を買収した日産自動車の思惑とは(前)
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燃費不正問題で国内販売が苦戦に陥った三菱自動車工業(株)は10月20日、日産自動車(株)のカルロス・ゴーン社長が会長に就任すると正式発表した。日産は同日、三菱自に2,370億円を出資。発行済み株式の34%を取得し、筆頭株主となった。
三菱自の益子修会長兼社長は社長に専念。日産で世界6地域を統括するトレバー・マン氏が三菱自の最高執行責任者(COO)に就任した。益子氏は日産からの出資受け入れを機に退任する意向を示していたが、日産のゴーン社長は同日の会見で、「私が慰留した。日産出身でない益子氏がリーダーであることは強いメッセージになる」と強調した。
三菱自の新たな経営体制は12月14日に開く臨時株主総会後に発足する。三菱自は燃費不正問題発覚後の5月25日、日産と資本業務提携を結び、同社への傘下入りを正式に決めた。三菱グループの会社だった三菱自は、日産の傘下に入った。日本最強の企業集団といわれたスリーダイヤの凋落を象徴する出来事であった。
今期の最終損益は2,396億円の巨額赤字の見込み
三菱自の16年4~9月期の連結決算は、燃費不正問題に関連して1,662億円の特別損失を計上し、最終損益が2,195億円の赤字(前年同期は520億円の黒字)に転落した。特別損失は、燃費不正の対象となった自動車の購入客や、軽自動車を供給している日産自動車など取引先への補償が膨らんだためだ。
売上高は前年同期比19.2%減の8,649億円となった。燃費不正があった軽自動車の販売を中止したため、国内販売台数は5万台(前年同期比10万台)に半減。中国やロシアの販売も振るわず、世界販売台数は48.9万台(前年同期比60.3万台)に落ち込んだ。
国内販売の不振に加え、円高で339億円の利益押し下げ要因が発生。リコール(回収・無償修理)費用を660億円引き当てたことも響き、営業損益は316億円の赤字(同584億円の黒字)に転落した。
17年3月期通期は、売上高が18.9%減の1兆8,400億円、営業損益は276億円の赤字、最終損益も2,396億円の赤字を見込んでいる。
一体となって自動車を造り、売るという意識の欠如
三菱自は8月2日、燃費不正問題を受けて設置した特別調査委員会(委員長・渡辺恵一元東京高検検事長)が提出した報告書を公表した。05年、燃費測定方法が法規に従っていないとの指摘を当時の新入社員から受けたが、三菱自は改めなかった。自浄作用が働かない体質が浮き彫りになった。「なかでもすべての根源は会社が一体となって自動車を造り、売るという意識が欠如している」(委員の坂田吉郎弁護士)との指摘があった。
三菱自は不祥事のデパートみたいなものだ。2000年にリコール隠し問題が発覚し、その後も02年には大型トラックのタイヤ脱落による母子3人死傷事故、04年にはまたしてもリコール隠しが発覚した。
その都度、指摘されてきたのが、度し難いまでの隠蔽体質だ。明治時代に政商から出発し財閥を形成した三菱は、政府から洗車から航空機までの軍備を一手に引き受ける軍需産業として巨大化した。
「三菱は国家なり」。戦後、三菱重工業(株)は防衛産業の雄として君臨した。明治、大正、昭和、平成の4代にわたり国家とともに歩んできたというのが三菱のプライドである。スリーダイヤは、大三菱が誇るシンボルマークだ。
国家相手のビジネスだから、情報は徹底的に秘匿した。すべての情報を隠蔽するという三菱重工のDNA(遺伝子)をしっかり引き継いでいるのが、重工の嫡子にあたる三菱自だ。(つづく)
【森村 和男】法人名
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