「文春砲」も販売面では不発の週刊誌マーケット(後)
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深刻なのは、週刊プレイボーイと週刊大衆がついに大台の10万部を割り込み、9万部台に落ち込んだことだ。さらに週刊朝日とフラッシュは8万部台に、サンデー毎日(5万4,000部)とアエラ(5万2,000部)、スパ(5万6,000部)など5万部台に落ち込む雑誌も続出。スパの編集者は10年前は「ウチはニュースに関係なく常に部数は安定」と言ってきたが、スパのような軽めの記事はもはやネットでタダで読む時代に移っており、買ってまで読もうという人は急減しているのだ。
ニューズウイーク日本版は3万5,000部にまで低迷し、存続可能性に黄信号が点滅する。かつて「30万部を割ると社会への影響力がなくなる」といわれてきた週刊誌業界だが、いまや30万部を超えているのは週刊文春と週刊現代の2誌しかなく、軒並み10万部以下なのだ。
とりわけ苦戦が深刻なのが週刊新潮で、前期比4万部減の27万部にまで落ち込んだ。発売日が週刊文春と同じ曜日で「文春砲」の影響をもろに食らった格好だ。編集長職は10年近く続けるのが慣例となっている同誌だが、販売不振の責任を負って編集長交代もありえそう。「文春砲」はライバルの新潮の屋台骨をも直撃したといえるだろう。
ビジネス誌では、日経ビジネスがついに20万部の大台を割り込み、19万4,000部に。週刊東洋経済は1割近く部数を落とし5万9,000部台に低落する一方、週刊ダイヤモンドは微増し、9万部弱になった。特集記事の良しあしやインパクトの度合いが部数の増減に影響したとみられる。「看板誌なので休刊・廃刊はないだろうが、正直言ってこの部数減はきつい」と東洋経済編集者は言う。
日本経済新聞社グループがお得意な日経系専門誌群も、日経コミュニケーション(8,000部)、日経エコロジー(6,000部)、日経デザイン(8,000部)などと1万部台を割り、もはやミニコミ誌の領域に近づきつつある。
月刊紙ではかつて100万部雑誌だった文藝春秋が「防衛線」として死守してきた30万部台を割り込み、26万部になった。中心読者層は「平均年齢70歳以上で、新規読者よりも亡くなる人の方が多い」(同社関係者)と高齢化と運命をともにしている。
大手出版社は週刊誌とマンガで稼ぎ、多品種少量の単行本の赤字を補うビジネスモデルだったが、もはや雑誌が牽引役ではないことは明らか。10万部以下の週刊誌はコスト面からみても割に合わず、今年は各誌編集長の交代や、あるいは休刊・廃刊するところが現れそうだ。
(了)
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