安倍首相会見よりは格段に健全なトランプ会見
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、1月11日行われたトランプ次期大統領の記者会見と比較して、日本の安倍首相の記者会見のやり方を改めるべきと主張した、1月14日付の記事を紹介する。
1月20日に第45代米国大統領に就任するドナルド・トランプ氏が1月11日に記者会見を行った。会見ではCNNの記者が発言を求めて声を張り上げたが、トランプ氏はこの記者を指名しなかった。それでもCNN記者は納得せず、大声で発言を求め続けた。
このことについて、トランプ氏を批判する主張を提示するメディアが多いが、日本と比べればトランプ氏の対応ははるかに優れている。CNNの記者が次期大統領の記者会見で、少なくとも自由な発言が許されているのである。日本の情報空間の息苦しさ、情報統制に比べれば、米国の空間ははるかに開けている。首相官邸で頻繁に記者会見が開かれる。NHKがその模様を実況中継することも多い。安倍首相の記者会見の場合、質問する者があらかじめ決められていることがほとんどである。そして、質問内容も事前に首相側に伝えられている。首相官邸はあらかじめ質問への回答文書を作成しており、安倍首相はその答弁書をただ読んでいるだけである。プロンプターというツールが発達したために、安倍氏は顔をあげて、演台に設置されている透明のプロンプターに映し出される、官僚が用意した答弁書を読んでいるだけだ。事前に質問を官邸側に提示していない記者に質問をさせることもないし、そのような記者が司会者の制止を振り切って質問を強行することもない。
すべてが「管理」、「統制」されている。記者会見に出席できるのは「記者クラブ」に所属するメディアだけであり、この「記者クラブ」は基本的に「大政翼賛会」である。自由に質問を許し、自由に発言を許す米国とはまったく違う。
安倍首相は官僚が用意した答弁書をただ読むだけの「READER」であって、「LEADER」ではない。
自民党幹事長がトランプ次期大統領の記者会見での対応を批判するなら、その前に、安倍首相の記者会見の方式を変えることを主張するべきだ。記者会見に出席できるメディアを「記者クラブ」以外に開放するべきだ。そして、記者会見の際の質問を事前に通知させることをやめさせるべきだ。すべてが「やらせ」なのである。かつて、小泉政権の際のタウンミーティングで、「一般市民」からの質問が、「やらせ」であったことが発覚した。さらに、タウンミーティングの参加者が行政当局によって恣意的に操作されていることも発覚した。そして、参加者のなかに「工作員」が用意されていて、質疑応答で、事前に仕込まれた「工作員」が指名される手はずも整えられていたことが分かった。
NHKが放映する安倍首相の記者会見もこれと同じなのだ。すべて「やらせ」。プロレス興行と同じ、と言えば、プロレスに対して失礼にあたるだろう。NHKは「やらせ記者会見」だから、生放送での実況を行うのだ。「ガチンコ」記者会見なら、生放送にはせずに、編集してから放送するに違いない。
トランプ大統領を批判する前に、日本がやっている、非民主的な、大本営的色彩たっぷりの安倍首相記者会見のやり方を、まずは変えるべきだろう。
※続きは1月14日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1640号「最悪の安倍政治が持続するただ一つの理由」で。
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