小倉・魚町銀天街から始まるリノベーション活動(8)
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これまで、2011年から始まった小倉魚町銀天街中屋ビルの再生、そこから派生したリノベーションスクール活動の経過や意義などを書いてきました。
このシリーズは今回で最後となりますが、その成果および周辺への波及効果についてお話します。サンロード商店街の再生
既述のように、中屋ビルが東側に面するサンロード商店街のアーケードは、15年度撤去され、今では広い空間が出現し道路舗装も植栽が施されるなど斬新なイメージの通りに変貌しています。
この素晴らしい道路を活用して路上(公道)で飲食(オープンカフェ)やマルシェ(市場)もできるようになっています。これは北九州市の国家戦略特区を活用した規制緩和策のおかげです。16年8月には、「リノベーションまちづくりの大きな成果 『魚町サンロード商店街オープニングセレモニー』」が市長出席のもとに開催され、路上ファッションショーなども華やかに行われています。あわせて「第11回リノベーションスクール」も開催という状況です。
さらに、「サンロード鳥町夜市」が常設され、夜9時までお酒も提供できるようになり、近隣の勤め人などからも大好評を得ており、夜も賑わうといった状況です。10月からは「サンロード鳥町マルシェ」もスタートしており、賑わいは一層増しています。
このようなことからマスコミも注目し始め、RKBテレビの看板番組「豆ごはん」にも大きく取り上げられています。写真は、そのときの画像の一部です。「カルチェ・ラタン」が謳われているのは、当初(2010年頃)の目論見通りとみてよいでしょう。
リノベーションスクールなどによる中屋ビルのテナントリーシングの成功ひいては、空きビルの再生、サンロード商店街との相乗効果による若者拠点化、さらには、マルシェや産直市(三番街自由市)、中屋ビル前の駐車場・商業施設ビル、クロスロード(これも国の補助金、戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費補助金を活用)の盛況によりこの魚町3丁目一帯は、今やひところが想像できないくらいの賑わいを見せています。
周辺への波及効果
そしてその波及効果は、近接する商業施設へもおよんでいます。
一例として挙げれば、中屋ビルすぐ近くの廃業したファッション店跡地には、全国的にタクシー・不動産事業を展開する第一交通産業(北九州市小倉北区)が写真のような商業ビルを建築中です。
その前面にある火災で消滅した店舗跡地の開発計画も進行中とか。さらに、再三触れてきた中屋ビルに隣接する空き店舗化した丸源ビルも、このほど買い手がついたとか。これは、上層階はマンション、低層階は商業施設とのことですが、中心市街地の人口増に寄与することは間違いないし、何より空き店舗が解消しきらびやかな商業施設が出現することで、小倉・北九州市の消費者へのアピールが行われることが重要です。
以上のようなことから、魚町銀天街の中心はこの中屋ビル一帯に移りつつあるといっても過言ではないでしょう。しかも、中屋ビルオーナーの梯社長の話によれば、中屋ビル~サンロード商店街は、今後、朝は、朝市による賑わい、昼は、手づくりクラフトや雑貨の販売、夜はオープンカフェによる飲食で活気を生むという三毛作展開を考えるとのこと。今後の動向が注目されます。
リノベーションスクールの全国展開
さてリノベーションスクールですが、嶋田氏はこの活動を全国に広めるべく現在、国土交通省の補助も得て全国各地に展開をしています。嶋田氏の活動をFacebookで見ておりますとまさに神出鬼没、よく身体が続くなと思うほどに各地でリノベーションスクール活動に勤しんでいます。
リノベーションスクールについては、ネットで検索していただくとこれまでの活動報告などたくさんみることができます。また、リノベーションスクールの公開プレゼンテーションの動画は、YouTubeに上げられています。ぜひご覧ください。百聞は一見に如かず、です。
以上で「小倉・魚町銀天街から始まるリノベーション活動」の報告を終わります。
(了)
<プロフィール>
M&R 地域マーケティング研究所
代表:吉田 潔
和歌山大学国際観光学研究センター客員研究員/西日本工業大学客員教授/福岡大学商学部非常勤講師関連キーワード
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