起業4年で売上130億超 医療機関の悩み解決(前)~(株)エーエヌディー
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起業からわずか4年で年商137億円を見込むベンチャー企業が福岡にある。福岡市博多区に本社を構える(株)エーエヌディーだ。医療機関が抱える、長年の課題を解決するシステムがニーズを捉えた。今の目標は、2020年までに売上高1,000億円を達成すること。久保田洋充代表は「達成が目標ではなく、達成までの時間を縮めることが目標」と早期実現に自信をのぞかせる。起業から今後の展望まで、話を聞いた。
自衛隊での経験が生きる
――会社設立のきっかけは?
久保田 病院経営支援のためのシステム構築やサービスを提供しています。会社は現在4期目ですが、私自身は医療業界に20年以上携わっています。原点は陸上自衛隊での経験といえばいいでしょうか。通信学校でネットワークや暗号化を学び、それを応用したのが、現在のサービスに発展しています。自衛隊はロジスティックスが成り立っている世界。しかし、病院内を見回すと、それがまったく追いついていないことを知りました。医療にロジスティックスを導入すれば、病院経営の役に立てるのではないかと思ったのです。
――院長が経営者を兼任する医療機関も少なくありません。経営のプロがいない医療法人などが御社のターゲットになるのでしょうか。
久保田 おっしゃる通りです。大病院には経営に特化した専任者がいますが、地方は兼任の場合も多い。臨床との二足の草鞋で、厳しい経営を強いられている病院もあります。そこにIT、サービス、ファイナンスの3つを軸とし、病院経営におけるフリーキャッシュフローの拡大を提案しています。
病院経営に即効性のあるサービスを
――病院経営支援サービスとはどのようなものですか。
久保田 医療機関、取引銀行と納入業者をつなぐ新しいモデルをつくり、これを「医療フィンテック」と名付けました。購買代行事業では、医療業界に「支払サイトの延伸」という概念を持ち込みました。
まず病院の消耗品などの在庫を一旦弊社が買い上げます。
病院は在庫を持たずに使用した分の費用を支払えば良いため、この段階で無在庫化、すなわちバランスシートのスリム化というメリットがあります。
同時に弊社はこの時点で 病院と納入業者との間に入ることになります。ここでポイントなのが、弊社が間に入っても病院は従来通りの仕入れ値で取引が行えることです。簡単に説明しますと、弊社は100円で仕入れたものを100円で病院へ売ります。しかしこれでは、利益は出ませんので、たとえば病院からの支払いを猶予することで、弊社は手数料をもらうようにします。すると、売上は「100円+手数料分」になります。この流れをベンチャーだけでやると、信用に乏しいのでタッグを組む金融機関と納入業者が、医療機関を紹介してくれています。
――導入した医療機関にはどんなメリットがありますか。
久保田 保険診療分野は40兆市場ですが、政府は縮小させようとしており、アナリストも医療分野は今後について「ネガティブ」と判断する人が多い。ますます病院経営は苦しくなっていきます。
通常の経営では、入ってきた現金で支払いを行なうため、歩留まりがほとんどありません。しかし購買代行事業では、導入した医療機関は現金を払わないことにより、営業キャッシュフローが貯まっていきます。「買掛金は増えていくが、現金は減っていかない。」病院経営はここがポイントなのです。
院内の在庫がゼロになれば、それまで対応していた労力削減も可能。消耗品を需要に応じて、小分けした状態で納入することもでき、期限切れで廃棄処分することもなくなります。(つづく)
【文・構成:東城 洋平】
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