サムスントップの李在溶副会長の逮捕(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国の大統領をめぐる不正疑惑は、韓国最大財閥であるサムスングループの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を逮捕する事態に発展した。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領とサムスンとの贈収賄の関係性を捜査している特別検事チームは2月16日、サムスングループトップの李在鎔副会長を、贈賄などの疑いで逮捕状を請求した。特別検事チームは、1月19日にも李在鎔副会長の逮捕状を裁判所に請求したが、裁判所は証拠が不十分だとして請求を退けた。特別検事チームはその後、約3週間にわたって証拠を補強するとともに、今回の贈賄は合併の見返りであることを裁判官に認めさせたようだ。
ソウル地方裁判所では、逮捕の理由は十分だとして、17日5時過ぎに李在鎔副会長に逮捕状を発付した。特別検事チームは今回、逮捕状を再請求するに当たり、430億ウォンの贈賄、横領、偽証のほかに、海外への資産隠し、利益の隠匿を追加した。
特別検事チームは、今回の朴槿恵大統領と親友の崔順実(チェ・スンシル)被告人などによる国政介入の疑惑の争点は賄賂であるとみて、その立証に力を入れてきた。特別検事チームは、朴大統領と崔氏を「利益を共有する関係」とみなし、サムスンが崔被告側に賄賂を贈ったことは贈賄に当たるとした。最終的には収賄側として朴大統領の立件を目指しており、李副会長の逮捕は、憲法裁判所の弾劾審理にも影響を与えそうだ。一方、サムスン側では、今回の逮捕にショックを受けたようだ。サムスン側の主張は、資金を提供したことは認めているものの、見返りではなく朴大統領の強要によるもので、サムスンも被害者であるということだった。
しかし特別検事チームは、崔順実一家へのサムスンの資金提供は、李副会長の指示および承認だったことを突き止めた。それに、資金提供が見返りである証拠も確保したようだ。
李副会長は今後、立件される可能性が高い。韓国最大の財閥を率いる李副会長は、サムスングループでは逮捕された初めてのトップとなった。
李副会長の逮捕をめぐって、まず市民は政経癒着に初めてメスが入れられたことを、歓迎している。しかし、財界などからは、李副会長の拘束は韓国最大財閥の経営空白を生むことになり、経済にマイナス要因になると指摘している。
いずれにしても、今回の逮捕は、サムスンのイメージに打撃を与えることは間違いない。これを機に経営の透明化を実現すればサムスンにとってプラスになるという観測と、大事な時期にトップの不在はどうしても経営にマイナスになるという2つの観測が対立している。もう少し様子を見る必要があるだろう。
個人的な見解ではあるが、李副会長は今まで経営を調整しているだけで、経営にそれほど深く関わっていたわけではないので、それほどグループ経営に大きな影響はないだろう。それよりも、問題は李副会長への事業継承である。(つづく)
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