ファンド不動産取引の原則=前金頂戴主義
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「不動産高騰はファンドが買いあさるから」。この定則を今一度、厳しく吟味してみよう。本当に不動産ファンドは金を持っているのだろうか。確かにシンガポール、北欧、中近東の国策的ファンドは、兆円単位の資金力を駆使して桁違いの不動産投資を日本国内で展開している。しかし、このようなファンドはわずかである。ファンド投資家たちと不動産取引した実績のある経営者が警鐘を鳴らす。
「彼らは金がなくてずる賢いから取引は要注意だ。必ず前金を取ること。それが前提だ。決済延期が当たり前という覚悟が必要だ」。
今回も3月末に80億円の取引決済日が近づいている。手付前受け金3億円を頂戴しているが、決済できるかどうか半々と腹を括っているそうだ。決済不能であれば前受け金を頂くだけである。この経営者が「(もし流れても)順位2番手と交渉すれば良いだけのことだ」と涼しい顔でいるのは苦い経験で苦労したお陰である。
少なくとも福岡・東京でうろついているファンドマネジャーは他人様の懐勘定で勝負している。彼らは「売却依頼書」とか「不動産鑑定書」に異様にこだわる。特に「売却依頼書」発行に対しては土下座して懇願する。「売却依頼書」を元手にして資金集めに奔走するためである。
2015年の年末近くになって、あるファンドマネジャーがシレッとした顔で来社したという。決済日まで残り40日を切っていた。「社長!!金が集まらない。融資してくれる銀行を紹介してくれ」と悪びれた素振りを全く見せずに言い放った。これを聞いた社長は啞然として言葉にならなかったという。
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