晩節汚した長谷川裕一氏、福岡地裁で結着!筑紫女学園・はせがわ相談役の理事長は無効
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大手仏具販売メーカー(株)はせがわの経営者として、同社を上場させた長谷川裕一氏(1982年4月に代表取締役社長に就任。現在は相談役)。福岡経済界で著名な経済人として各種団体の重責を担い、後進の指導を行う活動も長く続けてきた長谷川氏だが、浄土真宗本願寺派の流れをくむ学校法人筑紫女学園で自ら当事者として関わり、訴訟にまで発展した一連のトラブルは、まさに「晩節を汚した」といっても過言ではない内容だ。
前理事長の寄附行為違反に加担
2月23日、福岡地裁は、長谷川氏の筑紫女学園理事長就任に至る一連の理事会運営について、複数の寄附行為違反があり、無効とした原告の同学園理事4名の訴えを認め、被告である筑紫女学園に「長谷川氏が理事長の地位にないことを確認する」を含む判決を言い渡した。問題となったのは昨年6月10日の理事会決議。NetIB−NEWSではたびたび、この問題を取り上げているが、以下、あらためて整理する。
今回の訴訟の背景にあるのは、学園運営をめぐる前理事長・笠信暁氏と「95%が反対」とされる教職員の対立だ。長谷川氏は理事として笠氏を支持していたが、笠氏は、教職員の投票結果を無視した学長選任や不透明な不動産取引などが問題視され、昨年3月25日の定期役員会で、反対派の理事から解任決議を議題として提出されようとした。この際、長谷川氏や、同じく笠氏を支持する理事の九州電力(株)の代表取締役会長・貫正義氏は同決議提出前に退出。笠氏もまた帰ろうとし、引きとどめようとした教職員の足を車で轢いて警察沙汰になり、地元紙でも報じられることとなった。
解任決議の提出は見送られたが、理事会内で笠氏の支持派は長谷川氏、貫氏を含む6名。反対派がそれを上回る状況だった。評議員会も圧倒的に反対派が多く、笠氏一派は政権崩壊寸前と見られていたが、6月10日の第348回理事会で逆転が起きる。まず、遡ること3月1日、笠氏は、学長、副学長、中高校長、法人事務局長など職務によって理事を務めるあて職理事である反対派の事務局長を理事会に諮らず解任。3月末には、反対派理事であった副学長が退職し、3月末時点で、笠氏の支持派6名、反対派7名(解任された事務局長を入れれば8名)となる。
6月10日の理事会に際しては、笠氏は、自身が解任した事務局長に招集通知を送らず、さらに、体調不良で欠席する理事1名が同じ反対派の理事に託していた委任状を採決の場で無効と宣言。意見を求められた監事もこれを認め、“出席者は笠氏の支持派6名と反対派6名”という状況を作り出した。
笠氏は、あて職理事を除き、反対派理事を一掃する理事改選案を議題とする。その案は、理事会当日に発表されたものだ。反対派にとっては不意打ちを受ける形での採決となったが、反対の意思は変わらず、賛否同数の結果になった。ここで笠氏は、初めの採決で1度、賛成票を投じているにも関わらず、議長票として2票目を賛成に投じた。この結果、6名の理事が改選され、長谷川氏、貫氏を含む13名の新理事が選任される。つづく6月21日に行われた新体制の理事会で、長谷川氏が新理事長に選任されたことになっていた。
それでも理事長の座に固執するか?
原告がルール違反と指摘するのは以下の内容だ。(1)寄附行為で、理事の3分の2以上の賛成をもって選任される事務局長が、理事長の独断で解任されたこと。(2)長年認められており、記入要領まで理事に送付される委任状(書面決議)が無効とされたこと。(3)1人で2票を投じた笠氏の行動。また、原告は、訴えのなかで、長谷川氏の理事長選任について、「原則として浄土真宗本願寺派の寺院の僧侶」と定めた筑紫女学園の寄附行為に反するとし、「長谷川氏は『生長の家』の関係者であり浄土真宗本願寺派の立場と相いれない」と断じた。
福岡地裁は、原告の訴えを認め、6月10日の決議の無効、同決議で選任された理事の無効、無効とされる理事が参加した理事会で選任された長谷川氏の理事長選任も無効とした。訴訟費用は被告である筑紫女学園の負担となる。
司法は、「学校法人筑紫女学園・長谷川裕一理事長」を無きものと判断した。問題性が認められた数々の寄附行為違反に加担し、同法人の運営に混乱を生じさせたことの責任は重い。さらに長谷川氏は、学識経験者枠の理事として同法人の寄附行為で定める2期6年を超えており、いまだ理事であること自体にも疑義が生じている。長谷川氏は、この点も含めた記者からの質問状(2月8日に送付)に対して、期限の2週間が過ぎた2月27日現在も未回答だ。
創立110周年を迎える名門校の理事長の地位にありつかんとしたのは名誉欲か。今後、筑紫女学園には、理事会を開き、理事、理事長が適正に選任されることが求められるが、長谷川氏の動向には、福岡経済界からも一段と注目が集まることになる。これ以上、混乱の終息を妨げる要因となり続けるのであれば、その名は地に堕ちることになるだろう。
【山下 康太】
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