九州建設M&A緊急記者座談会~そこに「事業魂」はあるか(前)
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九州屈指のゼネコン九州建設(株)のM&Aは、週末の福岡ビジネス界を震撼させた。いち早く情報をつかんだデータ・マックス取材記者陣は、この知らせをどう受け取ったのか。また、かつて福岡銀行の全面的なテコ入れが必要なまでに落ち込み、そこから見事な復帰を見せた同社が、なぜ今M&Aの選択をしたのか。記者による座談会で読み解く。
大規模M&A第一報が建設業界を走る
A 久しぶりに、データ・マックスが得意とする建設業界の大規模M&Aが起きたね。まず、どういう経緯でこの情報が入ってきたのか確認しよう。
B 私が懇意にしている、ある板金業の会社さんから「九州建設に動きがありました」と急に電話がかかってきたのが発端です。すぐに確認したところ、買収した側の徳倉建設(株)が上場会社だったこともあり、内容が判明しました。それによれば、徳倉建設は2月24日の取締役会で、買収を決定した。株式譲渡は4月5日を予定している。九州建設側とも合意が取れている、ということでした。
A これを予想していた人はあまりいなかったんじゃないかな。
B そうでしょうね。まず速報記事をNet-IB Newsにアップしながら、S社をはじめゼネコン各社に連絡を取ってみましたが、やはりどこも事前には知らなかったようです。驚いている会社がほとんどでした。
C 僕もあれからゼネコンや下請業者さんにも連絡してみましたが、直接取引がある会社さんのなかには内々に一報を受けている会社もありました。水面下で動きがあったみたいですね。こちらから買収の話をすると、「正式に決まったんですね」という反応でした。
A M組の社長は午後4時には聞いていたというけど、これは徳倉建設が公表した直後くらいかな。
B 午後3時には公表されていましたね。
倒れた高松組と残った九州建設の差は
A なぜこの時期に、九州建設はこの判断をしたんだろうか。
B ちょっと思い出したことがあります。辻長光会長が社長になったとき、まだ31歳でした。若くして父の辻長英さんの跡を継いで、しかも長英さんは一切口出しをしない。「理想の事業承継だ」と言われた。長光会長も温厚で腰が低くて、若いけれども立派な経営者だというのが最初の印象でした。
A それが1997年だったかね。
B そうでしたね。そしてリーマン・ショック後の2009年5月に(株)高松組が倒産しますが、それについて情報発信をするなかで辻長光会長に電話をしたことがありました。長光さんと高松組は仲がよかった。このとき、温厚な長光さんが珍しく言葉を荒げて「なぜ高松組のことをそんなに書くのか」と言ったのが記憶に残っています。九州建設も「これは他人事ではない」という意識があったのかも知れないですね。実際はその後、福岡銀行からテコ入れが入って持ち直すんですが。現在の建設業界は好調ですが、先のことは何ともいえない。「また昔のようなことになってしまうのでは」という不安や恐怖感があったのではないでしょうか。
A なぜ今か、ということを考えると、まずは業績がかなり回復したタイミングということか。
B 売上はほぼ100億円に達しました。借入金もかなり減らしています。実質的な銀行管理の状態から、よく持ち直したと思いますよ。
A 売るなら今、ということだったのだろうね。16年は4億円の利益を計上していた。そういう判断があったということだろう。リーマン・ショック後の厳しい時期から、ここまで立て直したということだ。
(つづく)
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