放置竹林の拡大を防ぐ 北九州市森林組合

伐採作業の様子
伐採作業の様子

 北九州市は市域面積の約38%を森林が占めており、森林とまちが近いという特徴もある。その山林を維持管理しているのが、北九州市森林組合。市では地滑りなどの災害を防ぐため、放置された竹林の拡大防止に力を入れており、同組合はその重要な担い手になっている。

「KITAQ WOOD」プロジェクト

 北九州市の森林面積は1万8,530haで、森林率は37.7%(2022年4月末時点)。各区の森林率は小倉南区54.1%、八幡東区47.2%、門司区46.0%の3区が高く、市内に森林が散在しているのも特徴の1つだ。福岡市(森林面積1万1,972ha、森林率34.8%/24年1月時点)と比べると、いずれも大きいことがわかる。全国の森林率68.5%と比べれば低いが、全国20の政令市のなかでは9番目に高い。つまり、北九州市は森林とまちの距離が近い大都市といえるのだ。

 森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を抑える重要な役割を担い、水源の保全や土砂災害の防止などの重要な役割をもつ。北九州市森林組合は、市全域の森林の植林・保育(下刈・間伐・その他)、木材生産などを行っているが、近年の特徴的な動きとして、北九州市産材の地産地消プロジェクト「KITAQ WOOD」がある。同プロジェクトは、北九州市と同組合(木材産業の川上)、ウイング(株)と(株)伊万里木材市場(川中)、大英産業(株)(川下)の5者が「地域材の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結し、木材に関連するサプライチェーンの活性化、カーボンニュートラルの実現、さらには森林の循環、地域の安心安全の確保などに結びつけようとするものだ。このほか、スギ花粉の少ない樹種への転換にも取り組んでいる。

「KITAQWOOD」プロジェクト協定締結時の様子
「KITAQWOOD」プロジェクト協定締結時の様子

    さらに空き地や道路沿い、建物・住宅にある雑木や大木、庭木、古木・枯れ木の伐採や剪定を行い、草刈りや後片付けまでにも対応している。北九州市の空き家率は約15.8%で、政令指定都市では大阪市に次ぐ高水準。さらなる空き家の増加もあり、直近ではそうした空き家における庭木などの伐採・剪定の依頼が増えているという。加えて、同組合が近年注力しているのが、放置竹林の拡大を防ぐ取り組みだ。

竹の利活用プラットフォーム

竹林の利活用が課題になっている
竹林の利活用が課題になっている

    竹林は、北九州市の森林面積の1割以上となる約1,900haを占める。全国的に有名な高級ブランド筍として知られる「合馬たけのこ」の生産などで活用されているのは、そのうち約150ha。残りの竹林は、適切な管理がなされていない放置竹林と推計されている。

 同組合の本田哲也参事は、「竹は繁殖力が強く、放置すると周辺の森林に拡大して土壌の養分を吸い取ることでスギやヒノキの成長を阻害し、森林が持つ保水力や土砂災害を防ぐ力を弱らせてしまう」と指摘。そして、放置竹林が増えつつある理由は、所有者の高齢化や、担い手不足、輸入材の増加など、さまざまだという。

小倉南区合馬地区の竹林資源を有効活用する目的で生産された「竹酢液」
小倉南区合馬地区の竹林資源を
有効活用する目的で生産された「竹酢液」

    北九州市では放置竹林への危機感を強め、24年から竹の利活用プラットフォーム「竹林循環都市北九州」を構築。事業者や市民団体等が、さまざまな活動に取り組んでいる。森林環境譲与税を活用して「竹転事業」(危険性が高い竹林を伐採しクヌギなどの広葉樹を植林する事業)や、市民参加型の竹林整備事業(竹粉砕機の無料貸出、竹の買い取り・販売※)、情報発信などを実施するもので、北九州市森林組合は「放置竹林の危険性が高まっている場所を探し出し、北九州市に対策を提案し竹転の作業を担う」(本田参事)としている。

【田中直輝】

※竹粉砕機の無料貸出は非営利目的のみ。竹は市が10円/kgで買い取り、2円/kgで販売し、買い取られた竹の一部は「小倉城竹あかり」などで利用された実績がある。


<COMPANY INFORMATION>
組合長:森元義男
所在地:北九州市小倉南区大字堀越350
設 立:1952年6月
出資金:6,604万円
URL:https://kitakyushuforest.jp/

記者募集

月刊まちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、建設・不動産業界に関すること、再開発に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

記事の企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は別途ご相談。
現在、業界に身を置いている方や趣味で建築、土木、設計、再開発に興味がある方なども大歓迎です。
また、業界経験のある方や研究者の方であれば、例えば下記のような記事企画も募集しております。
・よりよい建物をつくるために不要な法令
・まちの景観を美しくするために必要な規制
・芸術と都市開発の歴史
・日本の土木工事の歴史(連載企画)

ご応募いただける場合は、こちらまで。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。
(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事