凋落する有力通販~悠香(1)
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(株)悠香
茶成分配合の石けん「茶のしずく」のヒットで売上高300億円を超える有力通販企業に成長した(株)悠香。しかし、同製品を使用してアレルギー発症が多発したことにより、自主回収や集団訴訟に発展した。今年2月には、グループ企業の(株)Xenaが販売するビタミン含有石けんの表示が、景品表示法違反にあたるとして、措置命令を受けている。こうした状況から、業績に影響がおよんでいるが、急成長から急落となる九州の有力通販企業は珍しくない。これまでの同社の足跡を辿った。
固形石鹸通販ではヴァーナル以来 売上高300億円を突破
(株)悠香は2003年に中山慶一郎氏が化粧品の開発・販売業として設立。中山氏は九州大学理学部地球惑星学科卒で、大学院まで宇宙物理学を学んでいたものの、卒業後はその道には進まず、大手小売店のイオン九州(株)に勤務。この経験がその後の独立につながっていく。
主力商品の「茶のしずく石鹸」について、中山社長はかつて、弊社発行「I・Bヘルスケア」のインタビューで、同品の開発について語っている。2000年当時、中山社長の両親が東南アジアの学校建設にためのボランティア活動を支援していた際、偶然出会ったインドネシア人の女性から、赤道直下の環境から肌トラブルが多いと聞き、美肌・美白への願望を叶える商品作りを決意。さまざまな情報収集のなかで、石けん製造の名匠といわれる外池祥泰氏、鹿児島で無農薬栽培茶を栽培・生産する熊田岐利氏らと出会い、素材を基調とした「茶のしずく石鹸」を商品化したと話す。
「茶のしずく石鹸」は05年からの発売。中高年女性をターゲットに独特の記事形態のような広告やダイレクトメール(DM)・チラシ、テレビCMでは有名人を使った「あきらめないで」のキャッチフレーズで、確かな体感を訴求。瞬く間に売上を伸ばし、設立3年目の06年6月期業績は、売上高36億8,900万円、当期利益が2億700万円、翌07年6月期は売上高90億200万円、当期利益が6億900万円、08年6月期は、前年比とほぼ横ばいだったが、09年6月期は売上高202億円、当期利益が8億円となり、ピーク時となる10年6月期の売上高は307億円、当期利益は12億円まで伸長した。
同社は10年12月に、新たな商品開発や販売拡大、社内インフラの活性化に加え人材育成を目的に、販売拡充や広告を含む販促・サービス事業などを分社化。総務・経理・人事部門の(株)STGホールディングス、フルフィルメント部門の(株)LinkRing、システム開発の(株)Aerus、研究開発部門の(株)悠美科学研究所のほか、広告制作・通販部門の(株)Xena、化粧品販売の(株)Jour en Jourや(株)Christina、(株)LAGORITHの計8社を立ち上げている。
固形石けんを主力商品とした通販で売上高300億円以上は、(株)ヴァーナルが2000年3月期に達成した売上高331億円しか例がない。ちなみに同時期のヴァーナルの業績は、09年3月期の売上高が85億2,600万円で赤字を計上。悠香とは反対に業績減少が続いており、勢力は逆転。名実ともに固形石けん通販では悠香がトップとなっていった。しかし、同社もピークの翌年、ヴァーナルと同様に、思わぬかたちで業績急落という、同じ道を辿るようになる。
(つづく)
【小山 仁】<COMPANY INFORMATION>
代 表:中山 慶一郎
所在地:福岡県大野城市御笠川5-11-17
設 立:2003年5月
資本金:3,000万円
業 種:化粧品の通信販売
売上高:(16/6)103億円関連記事
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