福岡市屋台公募問題、再選考の一方で行政訴訟~一変した透明性
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営業ルールの遵守状況はすべてオープン
福岡市は21日、再選考を実施した商業地域エリア(天神地区)の2次審査の通過者を公表した。ただし、明らかにされているのは7個の受験番号のみ。再選考には18人が応募し、筆記試験による1次審査を通過(1名は欠席)したのは13人。うち7人が面接による2次審査を通過した。なお、不正問題の失格者6人のうち4人が再合格。最初の選考で合格が決定していた9人のうち2人が場所選びのやり直しを希望して再選考に応募し、うち1人が今回の2次審査の通過者に含まれている。
不透明なプロセスが問題視される今回の屋台公募は、募集エリアに関するトラブルや書類審査の不正が発生。選定基準や審査結果の関連情報にも非公開部分が多く、応募者の不信感を強めている。「同じ市がやっていることとは思えない」と、昨年11月の書類審査で落選した屋台営業者は、これまでの市の指導との違いを指摘する。市は各区役所の職員を通じて、屋台営業ルールの遵守状況を採点し、その結果については、屋号も含めて“すべてオープン”にしてきた(関連リンク参照)。
市が今年3月末で営業許可を取り消す、いわゆる「名義貸し」の屋台には、公募への影響も懸念して、ルールを厳守してきたところが少なくはない。しかし、その努力が報われることはなかった。既存の屋台営業者の営業ルールの遵守状況に関する採点結果は、新規の応募者との間で「審査の公平性を損なう」(市担当課)ため、一切反映されていない。応募者が特定される情報はすべて伏せられ、審査員による屋台の営業状況のチェックも行われなかった。
ペーパーテストや面接では、実際にルールを守れるかどうかがわからない。また、これまでのルール違反をリセットすることが、はたして『公平』といえるのか。屋台公募への疑問は尽きない。
合格者にも一定の配慮がなされた天神地区とは違い、不正問題が表に出なかった観光スポットエリアでは、再選考が実施されなかった。同エリアの公募に落選した祇園地区と須崎地区の屋台営業者2人は16日、4月1日以降の営業継続を求め、福岡市に対する行政訴訟を起こした。提訴した祇園地区の屋台「天新」は、現在の営業場所が募集エリアに含まれていなかった。公募の応募が始まる前から、今年3月末で“現在の場所から消えること”が決められていたのだ。
屋台営業者が生計を立てることと、客のニーズに応えることは表裏一体だ。落選した屋台営業者のなかには、常連客の利便性を考え、現在の営業場所の近くに店舗を探し、そこで新たに営業を再開するところもある。「仕事帰りの一杯を、屋台の仲間たち(常連客)と楽しむことが楽しみ。この場所を理不尽になくすことはやめてほしい」(40代会社員)。福岡市の屋台行政のあり方への疑問が消えているわけではない。訴えを起こした屋台営業者は、同業の仲間たちや多くの屋台ファンの無念を受けとめ、代表して、“福岡市の屋台行政の違法性”を追及していく考えだ。
【山下 康太】
▼関連リンク
・福岡市 屋台営業ルール遵守状況(福岡市HP)関連記事
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