非上場化する真珠のTASAKI、マネーゲームに翻弄される(前)
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MBO(経営陣が参加する買収)はマネーゲームの材料になる。3月27日の東京株式市場で、真珠や宝飾品販売の(株)TASAKI(東証1部上場)は、前週末比441円(25.4%)高の2,176円買い気配と制限値幅上限のストップ高の気配のまま値が付かずに取引を終えた。MBOが報じられ個人投資家中心に値幅狙いの買いが入った。旧社名の(株)田崎真珠の方が通りはいい。日本一の真珠会社だったが、乗っ取りを仕掛けられた痛手から回復できなかった。
旧村上ファンドもマネーゲームに参戦
TASAKIは3月24日、MBOを実施して非上場化すると発表した。アジア系の独立系投資ファンド、(株)MBKパートナーズが出資する(株)スターダスト(東京・港区)がTOB(株式公開買い付け)を行なう。TOB価格は1株2,205円。23日終値(1,550円)を42%上回るプレミアムを付けた。
株式の取得額は315億円程度とみられる。買い付け資金はMBKからの186億円の出資に加えて、(株)三井住友銀行からも借り入れる。会社側では、田島寿一社長、小川崇享副社長がそれぞれ所有する株式(合計所有割合3.31%)のTOBへの応募で合意している。買い付け期間は3月27日から5月11日まで。株式を非公開化することにより、短期業績に左右されずに経営の自由度を高め、海外出店に攻勢をかけると説明している。
MBKは乗っ取りを仕掛けられた田崎真珠(現・TASAKI)を2008年に買収した。MBKは15年7月に保有する株式全株を売却して投資金を回収。TASAKIが自社株に買いに応じて、TASAKI名義が22.15%の筆頭株主になった。資本構成は極めていびつだ。そこで、MBOを実施して非公開化する。MBKには2往復目の投資になる。
それを読んでいたのが、あの旧村上ファンドの面々。村上世彰代表が率いて「物言う株主」として知られる旧村上ファンドの出身者が2006年6月にシンガポールで設立した投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが昨年12月、TASAKI株を5.29%保有していた。今回、TOBに応じれば、短期間でハイリターンを得ることができる。
エフィッシモは3月23日、(株)東芝の8.14%を保有する筆頭株主となった。東芝は東芝メモリ(株)を2兆円で売却して再建の原資にする。半導体を売るのに反対して、保有する株式の買取を請求すれば、東芝メモリ売却益を先取りできる。しっかりソロバンを弾いている。
こうしたマネーゲームのおもちゃになったのが田崎真珠だった。(つづく)
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