シェア高める杭打ち業界の二刀流、強みは工法問わない総合提案力(前)
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ジャパンパイル(株)(アジアパイルホールディングス(株))
2015年、横浜で発覚した、旭化成建材(株)によるデータ改ざん問題で注目を集めた杭打ち業界。不祥事によるメディア露出は本望ではないだろうが、注目度が格段に上がったことは言うまでもない。そんな業界にあって、独自展開でシェアを伸ばしているのが、アジアパイルホールディングス(株)の中核ジャパンパイル(株)である。同社もデータ流用があったことを公表したが、業績に影響はなかった。そんな同社がいかにして現在の地位を確立したのか、業界関係者の話をもとに読み解いていこう。
合併でシェア拡大
建設業者で、その名を知らない者はいないだろう。杭工事業界でシェアを伸ばし続けているジャパンパイル(株)のことだ。誕生したのは、2005年の同業3社合併によるものだ。3社とは、1923年創業の(株)ジオトップ、34年創業の大同コンクリート工業(株)、58年創業のヨーコン(株)。ジャパンパイルロジスティクス(株)、ジャパンパイル基礎工業(株)などを傘下に置く業界最大手で、現在はグループでコンクリート基礎杭の製造・施工を行っている。グループ売上高は700億円を超え、東京証券取引所第一部にも上場している有力企業だ。
杭打ちデータ改ざん問題で、旭化成建材(株)の名前が挙がり、その後の全国調査で同社でもデータ流用が行われたと公表したのは記憶に新しいところだ。持株会社へ組織改編
同社は15年10月より持ち株会社制に移行し、「アジアパイルホールディングス(株)」に変更。海外事業とグループ運営を除く事業を15年3月に設立した「ジャパンパイル分割準備会社」に承継させ、15年10月に現「ジャパンパイル(株)」に商号変更。アジアパイルホールディングスグループとして、体制が変わった。名称は変わったものの、「ジャパンパイル」という企業は残っており、取引先でもアジアパイルと呼ぶケースは少ない。ベトナムとミャンマーに進出しており、今後アジア市場を見据えた世界展開を図るための組織変更、商号変更である。
基礎杭業界、2,500億円と見る
基礎杭業界の市場規模を調べてみたが、正確な数字がない。杭打ち大手の三谷セキサン(株)、ジャパンパイルが売上高600億円台で、それぞれ市場シェアの約25%を占めているといわれている。以上から、基礎杭業界は2,500億円規模の市場であると推定できる。建設投資額からこの数字を見ると、ほんのわずかな規模になってしまうが、新築される大型物件には必ず杭工事が発生する。マンション建築では、建築費の5~10%を杭工事が占めると聞かれるだけに、ゼネコンにとっては気を使う部分だ。さらに、基礎工事はすべての工事のスタート地点である。ここでの遅れは納期に大きく影響するため、迅速かつミスのない施工が求められる。データ偽装が大きくクローズアップされたことは、その重要性を映し出している。
(つづく)
【東城 洋平】
<COMPANY INFORMATION>
アジアパイルホールディングス(株)
代 表:黒瀬 晃
所在地:東京都中央区日本橋浜町2-1-1
設 立:2015年10月(旧・ジャパンパイル(株)は2005年4月設立)
資本金:10億円
売上高:(16/3連結)720億7,800万円関連キーワード
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