2024年11月27日( 水 )

仮想通貨ビットコインの急騰(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 仮想通過とは、正確に言うと暗号通貨であるが、インターネット上で決済手段だけでなく、日常的にも使われるようになった、暗号化された電子データのことをいう。仮想通貨のなかで始めて使われたのが「ビットコイン(Bitcoin)」であり、最も普及が進んでいるものである。

 当初、ビットコインはあまり認知度がなく、誰もビットコインでの支払いを受けようとはしなかった。そのため、2010年5月に初めて実際の店舗でのビットコイン決済が行われた際には、ピザ2枚(約25ドル)の代金の支払いに1万ビットコインを要したことは、今では有名なエピソードになっている。

 そのビットコインの価格が、連日急騰している。韓国の「bithumb」というビットコイン取引所では、5月25日の1日の取引金額が7,400億ウォンを記録し、世界2位にランクしたと報じられている。

 ビットコインは以前にも、急騰する時期があった。ビットコインが最初に価格が上がったのは、13年に起こったキプロスの金融危機であった。その後も、ギリシャの取り付け騒ぎや中国の人民元切り下げなど、有事の際にはビットコインは急騰している。今やビットコインの時価総額は1兆円を超え、もう1つの資産の選択肢として検討されるまでになっている。
 現在、世界の3大仮想通過はビットコイン、イーサリアム(Ethereum)、リップル(Ripple)である。

 それでは、ビットコインなどの仮想通貨は、なぜ急騰しているだろうか。

 1つ目の理由は、ビットコインを採用するお店などが増加していることが挙げられる。ビットコインは、銀行または政府による管理、監督がないので、取引コストが安い。とくに海外送金などを考えると、両替する必要がないので、両替手数料を引かれることもなく、送金手数料も安い。これは、小額決済や今までできなかった取引を可能にするため、経済を活性化する可能性を秘めている。

 2つ目の理由は、世界経済情勢が激変しているなかで、通貨に対する不信感がくすぶっていることだ。とくに、ドルに代表される既存の通貨に対する不信感が芽生え始めている。有事の際の金という選択肢があったが、ビットコインも金融危機がおよばない通貨としての認識され始めているようだ。

 現在、ビットコインは中国で8割が使われていると言われている。日本でも今までビットコインに消費税が課されていたが、今年7月から課税対象から削除されることになっている。
 それから日本の銀行でも、仮想通貨の発行を模索している。日本だけではなく、他の国の銀行、ひいてはイギリスなどの政府までも仮想通貨の発行を検討している。しかし、ビットコインは2,100万枚までと発行が制限されており、これが通貨の代わりになるのには限界もあるような気がする。

 だが、急騰があれば急落があるのが世の常なので、仮想通貨は今後、急落するリスクもあることを専門家は指摘している。

(了)

 
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