NTTグループでComputex Taipeiを盛り上げたい!(後)
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NTT Taiwan Ltd. 総経理 惠木 教文 氏
人間関係を重視し、支払いを柔軟に対応する例も
――惠木総経理、森シニアディレクター・プロダクトマネージャーとも、台湾滞在3年目を迎えます。台湾の企業社会、市民社会の印象を教えていただけますか。
惠木 私は1994年に、NTT本社から伊藤忠商事米国子会社へ2年間の出向経験があります。台湾企業の倫理・モラルは、その厳しい米国と比べると必ずしも高くないと感じています。とくに金銭に関係する不正は、米国では一般的にはあり得ません。
しかし、台湾では、人間関係をとても重視し、支払いなども柔軟に対応するケースが私の身近でも目にします。日本も昔はそのような例もありましたが、最近はとても厳しいです。イメージとしては、台湾企業社会の倫理・モラルは、人治主義が残っている大陸と米国のちょうど真ん中ぐらいではないでしょうか。市民社会も同じだと思います。森 3年連続出してブースを出していると、例年出展している、同じ展示エリアの会社から声がかかり、出展会社同士が日本のように競合というよりは、とても仲良くなったりします。台湾では、日本以上に個人と個人の結びつき、人付き合いを大事にしていることを感じます。休憩時間などには、自社の商品の説明以外にも、人生設計に関する相談を受けることもあります。
こうしたものは、日本の展示会等ではほとんどないケースなので、最初は多くの日本人は驚きます。私も同様でした。しかし、昨年までにそのように知り合って、その後、台湾NTTとして一緒に仕事をした会社も出ています。台湾では、「日本人はマナーも気遣いも最高だが、いざ深く付き合おうとするとドライだ」という声も聞きます。郷に入っては郷に従って、結果的に企業の利益を追求することができれば、という考え方もあるのかもしれません。中華民国最大の電気通信事業者、中華電信と協業
――惠木総経理は、中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)の葉明水秘書長が来日し、東京での記者会見の際、台湾NTTそしてNTTグループはIoTソリューションの紹介とともに、「台湾経済の拡大や日台経済連携に貢献したい」と言われています。この点について少しご説明をお願いします。
惠木 簡単に申し上げますと、協業などを通して、お互いの長所を伸ばし、短所を補い、ともに成長していくことができたら、と考えています。NTT本体も直販を中心に事業展開してきましたが、現在では大手外資系コンサルティング会社との協業などを通して、顧客拡大等を図っています。
台湾NTTはわずか約50人の体制です。台湾企業のなかでは、まだまだ知名度も低いと感じています。従って、中華民国最大の電気通信事業者・中華電信などと組むことによって、台湾企業社会での認知度を上げ、市場も拡大していきたいと考えています。一方で、中華電信の顧客である台湾企業は動きがとても早く、インドネシアやタイ、マレーシア、インドなどと、どんどん海外進出していきます。中華電信の通信網は大陸に大きく傾斜していた関係で、これらの地域では必ずしも十全な通信網は確立していません。通信網確立には、ネットワークのライセンス、海底ケーブルの問題など、とても時間がかかります。
しかし、日系企業は早くからこれらの地域に海外進出しているので、NTTとしてはすでにネットワークが確立しています。そこで、スタート段階においては、協業の一環としてNTTのネットワークをお使いいただくこともあります。台湾での成功が試金石になる
――なるほど、うまく協業が行われていますね。ところで、惠木総経理は昨年、東京の「Com Global Forum in Tokyo」で、「台湾市場の新たなビジネスモデル創出と成功秘訣」という演題で講演されています。最後に、現在台湾への進出や台湾企業との協業を考えている、中小企業経営者の読者に、そのエッセンスをご披露いただけますか。
惠木 日本企業にとって、巨大である一方でリスクも高い中国市場への進出や東南アジア諸国への進出の際に、台湾での成功は大きな試金石となります。台湾も大陸も、同じ中華文化圏なので、台湾企業は華人がどのようなものを好むのかをよく知っています。台湾での商品開発に成功した後、台湾企業と協業で、あるいは単独で大陸に進出する、東南アジアのシンガポールやインドネシア、マレーシアなどの大中華圏諸国に進出することは、とても理に適っています。米国のグーグルやフェイスブックも今、台湾に大きなデータセンターを構築して、再度大陸への進出を狙っています。
ただしその際に、重要なことが3点あります。まず1つ目はスピードです。準備が整ったら、できるだけ早い時期に進出することです。2点目は、小さな失敗をしても途中で諦めないことです。どんどん再挑戦していくことが必要です。そして3点目は、トップができるだけ早くデシジョンメーキングすることだと思います。NTTも大きな組織なので、決裁が決して早いとは言えません。しかし、台湾NTTでは、可能な限り早く決裁できるように心がけております。
以上の3点を踏まえながら、ぜひとも日本の企業の方々には、台湾への進出や台湾企業との協業を検討していただきたいですね。(了)
【金木 亮憲】<プロフィール>
惠木 教文(えぎ・のりふみ)
1989年3月、慶応大学経済学部卒業。同年4月、日本電信電話(株)に入社し、NTT西日本に配属。91年4月、NTTインターナショナル出向。94~96年、伊藤忠商事米国子会社出向。96年4月、NTTWT出向。99年、NTTコミュニケーションズ(GS部~IPI部~チャネル営業本部~グローバル事業本部)。2014年8月に総経理としてNTT Taiwanに出向し、現在に至る。関連記事
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