GINZA SIXは次世代の小売モデルか?
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2017年4月20日にグランドオープンしたGINZA SIX(ギンザシックス)。本サイトでも既報の通り、非常に活気にあふれている。
筆者が訪問したのは月曜日の午後1時過ぎだったが、地下2階の食品フロアでは、多くの人々が買い物を楽しんでいた。繰り返すが、月曜日の昼間だ。働きに出ている人が多い時間帯であるにも関わらず、“ごった返す”とまでは言わないものの、多数の来場者が訪れていた。
GINZA SIXは、旧松坂屋銀座店跡地と隣接する街区の2街区を一体的に整備した市街地再開発事業により完成した、銀座エリア最大の複合商業施設である。商業施設としてのフロアは、地下3階から6階、13階そして屋上となっている。1階中央の入り口を通り抜け、エスカレーターで6階まで上がった。館内の中央にある吹き抜けでは、前衛芸術家の草間彌生氏作のアートが存在感を示していた。6階からエレベーターで屋上へ。そこには樹木と花々で彩られ、青々とした芝生が敷かれた屋上庭園が広がっており、来場者の憩いの場となっていた。さらに、ここからはパノラマのように東京の街の様子を一望できる。13階は洗練されたレストラン街。6階は大手書店とレストランとカフェが融合したスペースを中心に、さまざまな料理店が連なるレイアウト。5階から1階は、ファッションと宝飾、そして食器などのインテリアを扱う店舗が展開している。
そして、地下1階のビューティ(化粧品関連)フロア、地下2階の食品フロアは、他のフロアと同様に著名なブランドが並んでいる。どのフロアを見ても、明確な店舗のコンセプト、そしてマーチャンダイジングが感じられた。富裕層への訴求が明白である。地下2階以外の各階に、必ずカフェが設置されていたことが印象的だった。どのカフェも小スペースではなく、比較的大きな作りで席数も多く備えられている。さらに、各階にはチェアやベンチが多数置かれ、リラックスできるスペースが備えられていた。館内全体が木目をモチーフにしたデザインの壁面(地下1階以外)、売り場内の通路幅は約2.7~3mぐらいとゆとりが感じられ、土日祝日の書き入れ時でも、ストレスを感じないスペースが意識されていた。また、どの店舗も大声での呼び込みなどはなく、落ち着きのある接客を行っていた。来場した顧客を存分に“もてなす”という視点で店舗を作っているな、というのが率直な感想である。とくに“見やすさ、回遊しやすさ”を実感した。
流通業界関係者は、「同業界の人間からすると、GINZA SIXは百貨店の進化系で“百貨店はもう要らない”というメッセージを感じる新しい商業施設ですね。今後、“どうなって行くのか?”という興味はあります。GINZA SIXに入店しているレストランの経営者からは“家賃が高い”と聞いています。売上の厳しいテナントの経営が成り立つのかどうかということも今後出てくるでしょう。もう、今までの百貨店のやり方は通用しない時代であることを、百貨店関係者は認めて受け入れるしかない。これまでの手法にとらわれることなく、視点を変えてお買い物に来ていただくことを真剣に考えねばなりません。今はモノを買わない若者たちが増加しています。GINZA SIXは、そういった若者たちをターゲットにせず、感度の高い大人や富裕層を狙っているのだと思いますが、銀座のメインストリートにある高級ブランド店との競合になるでしょう。ただ、GINZA SIX開業後、三越銀座店、松屋など周辺の店舗は売上にダメージがほとんどなく、むしろ入店客数は増加しているようです。銀座全体のシナジー効果はありますね」と分析する。
ソフト・ハードとも洗練され、バランス感覚に富んだGINZA SIX。銀座の新たなランドマーク、そしてシンボルとなるのは確かだ。一方で、店内の各ブランドの生き残りも激化することが予想される。今後の進化と変化、そして発展の推移に注目していきたい。
【難波 次郎】
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