通販好調企業の憂鬱
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福岡市内に本社機能を置く、通販事業A社を訪問したときの話だ。本格的に通販に乗り出してから、業績は右肩上がり。ついに売上高は20億円を突破した。
しかし、経営トップの顔が浮かない。その理由は、最近大きくクローズアップされている宅配業者の業界環境の悪化である。宅配物の急増、人手不足、再配達問題など労働環境の悪化で、宅配大手の労働組合が会社側に対し、宅配総量規制を求めた話も記憶に新しい。
A社は、大手1社に配送を依頼していたそうだが、最近リスクヘッジも含め、複数の宅配業者に依頼するようになったという。宅配料が数パーセント値上がりするだけで、その分1アイテムの原価は上がり、利益率や商品ラインナップも再考せざるを得ない状況まで想定している。
また、大手によるトラックドライバー引き抜きの話も頻発しているようだ。大手企業といえど、労働環境が厳しくなれば、人は離れていく。大手でも人手不足は深刻な悩みである。募集をかけてもなかなか応募がない業界。やはり即戦力を他社から引き抜くことが手っ取り早いのだ。その標的になっているのが、中小零細企業のトラックドライバー。「先日も、取引先の地場企業(のドライバー)が大手へ引き抜かれた」とA社代表。
業界が一団となって、問題解決へ向かう状況ではないようだ。
【東城 洋平】
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